計算と剰余金の配当 - 分配可能額と違法配当の責任

計算書類の承認手続、資本金と準備金の関係、分配可能額の枠、そして違法配当で株主・業務執行者が負う責任を整理します。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

株主は有限責任しか負いません。裏を返せば、会社債権者は会社財産だけが頼りです。だから会社法は、株主への払戻しに厳しい枠をはめます。分配可能額と違法配当の責任が核心です。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

まず計算書類。
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つ。
原則として定時株主総会の承認を受けるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

会計監査人設置会社で、会計監査報告に無限定適正意見があるなど一定の要件を満たせば、取締役会の承認で足り、株主総会には報告すればよいのでしたね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
プロが監査したなら、株主総会での承認までは要求しない、という発想ね。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

資本金って、会社の金庫に眠ってるお金のこと?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

よくある誤解ね。資本金は金額という数字であって、その額の現金がどこかにある、という意味ではないの。
株主に配ってはいけない財産の量を示す物差しと考えて。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

ぽわわ〜。
ものさし…なのぉ。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

払込みまたは給付をした財産の額が原則。
ただし2分の1を超えない額は資本金に計上せず、資本準備金にできるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

剰余金の配当をするときは、減少する剰余金の額の10分の1を準備金として積み立てる必要がありますね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ええ。
ただし準備金の合計が資本金の4分の1に達していれば、それ以上の積立ては不要よ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

配当って、年に1回、決算のときだけ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いいえ。剰余金の配当は株主総会の決議によっていつでも、何回でもできるの。
ただし財源に枠があるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

分配可能額ですね。
この枠を超えて配当することはできない。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
さらに、純資産額が300万円を下回る場合には、そもそも剰余金の配当ができないわ。
最低限の財産を残す趣旨よ。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

うぅ〜ん、もし枠を超えて配ってしまったら…もらった株主も返さなきゃいけないのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

厳しいけれど、そうなの。違法配当では、金銭等の交付を受けた株主と、職務を行った業務執行者らが、会社に対し連帯して、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うわ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

マジで!? 何も知らずに配当を受け取った株主まで?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

会社に対する関係では、善意でも義務を負うの。
ただし善意の株主は、責任を果たした業務執行者からの求償には応じなくてよい。
そこでバランスを取っているわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

業務執行者のほうは、注意を怠らなかったことを証明すれば免責されますね。
株主の責任とは性質が違う。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
そして総株主の同意があっても、分配可能額を超える部分については免除できない。
債権者のための規制だから、株主だけでは崩せないのよ。

確認クイズ

剰余金の配当に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 純資産額が300万円を下回る場合であっても、分配可能額があれば剰余金の配当をすることができる。
  2. 剰余金の配当は、定時株主総会においてのみ、1事業年度に1回に限り行うことができる。
  3. 分配可能額を超えて剰余金の配当を受けた株主は、善意であっても、会社に対し、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。
  4. 違法な剰余金の配当に関する業務執行者の責任は、総株主の同意によって、その全額を免除することができる。
こたえを見る

正解: 3. 分配可能額を超えて剰余金の配当を受けた株主は、善意であっても、会社に対し、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。

選択肢3が正しい。分配可能額を超える配当がなされた場合、金銭等の交付を受けた株主は、善意であっても会社に対して支払義務を負う(善意の株主は業務執行者からの求償に応じる義務がないにとどまる)。選択肢1は誤り。純資産額が300万円を下回る場合は配当できない。選択肢2は誤り。剰余金の配当は株主総会の決議によりいつでも、何回でもできる。選択肢4は誤り。分配可能額を超える部分の責任は、総株主の同意によっても免除できない。

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