株主総会は会社の最高意思決定機関…と言いたいところですが、取締役会設置会社では権限が絞られます。招集手続、3種類の決議要件、そして決議に瑕疵があった場合の3つの訴えを押さえましょう。
株主総会って、株主が何でも決められる場所でしょ?
半分正解。取締役会を置かない会社の株主総会は、会社に関する一切の事項を決議できる万能機関よ。
でも取締役会設置会社では違うの。
会社法に規定する事項と、定款で定めた事項に限られる、ということですね。
日常の経営判断は取締役会に委ねられる。
そのとおり。
所有と経営の分離ね。
次に招集。
招集通知は公開会社なら2週間前まで、公開会社でない会社なら1週間前までが原則よ。
うぅ〜ん、株主のほうから「総会を開いて」って言えるのぉ?
言えるわ。少数株主権のひとつ。
総株主の議決権の100分の3以上を、公開会社なら6か月前から引き続き有する株主は、招集を請求できるの。
先生、そこは例外処理はありますか。
公開会社でない会社では保有期間の要件が外れると記憶していますが。
そのとおり。
株式の流通が乏しい非公開会社では、6か月の保有継続要件は課されないわ。
決議のルールが一番ややこしいんだよね…先生、そこ整理して!
3段階で覚えて。普通決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数が出席し、出席株主の議決権の過半数。
役員の選任・解任がこれよ。
特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上。
定款変更、事業譲渡、組織再編、解散、監査役の解任などがここ。
さんぶんのに…3分の2。
ましろ、指を折って数えるね。
さらに特殊決議。
全株式に譲渡制限を付ける定款変更は、議決権を行使できる株主の半数以上という頭数要件が加わって、その議決権の3分の2以上が必要になるわ。
頭数まで数えるの!? 株主を「人」として見てるってことか。
そう。
譲渡制限は株主にとって重い制約だから、資本多数決だけでは動かせないの。
ここは真剣に覚えて。
落とせないところよ。
最後に決議の瑕疵を確認させてください。
訴えは3つですね。
ええ。
①決議取消しの訴え=招集手続・決議方法が法令定款違反または著しく不公正、決議内容が定款違反、特別利害関係人の議決権行使で著しく不当な決議。
提訴期間は決議の日から3か月以内。
②決議無効確認の訴え=決議の内容が法令に違反する場合。
③決議不存在確認の訴え=そもそも決議が存在しない場合。
②③は提訴期間の制限も提訴権者の制限もないわ。
手続の瑕疵は取消しで3か月、内容の法令違反は無効確認で期間無制限。
この対比が答案の分かれ目ですね。
確認クイズ
株主総会に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
- 株主総会の決議の取消しの訴えは、決議の日から1年以内に提起しなければならない。
- 決議の内容が法令に違反する場合は、決議の取消しの訴えによって争うことになる。
- 取締役会設置会社の株主総会は、株式会社に関する一切の事項について決議することができる。
こたえを見る
正解: 1. 特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
選択肢1が正しい。特別決議の要件は、定足数(議決権を行使できる株主の議決権の過半数。定款で3分の1以上まで軽減可)を満たしたうえで、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成である。選択肢2は誤り。決議取消しの訴えの提訴期間は決議の日から3か月以内である。選択肢3は誤り。決議の内容が法令に違反する場合は決議無効確認の訴えによる。選択肢4は誤り。一切の事項を決議できるのは取締役会を置かない会社の株主総会である。
2022年9月の改正で加わった決まり:株主総会資料の電子提供制度
株主総会の資料って、紙でどっさり郵送されてくるイメージなんだけど、今もそうなの?
そこが変わったの。2022年9月1日に、電子提供措置の制度が始まったわ。
株主総会参考書類や計算書類などの内容を会社のウェブサイトなどに載せて、株主が見られる状態に置く仕組みよ。
招集通知には、電子提供措置をとっていることなどを書いて知らせるの。
先生、どの会社でも当然に使える制度なのでしょうか。
定款の定めが必要よ(325条の2)。
そして、上場会社のように振替株式を発行する会社は、電子提供措置をとる旨を定款で定めなければならないの。
上場会社には義務、と覚えて。
うぅ〜ん、ウェブに載せるのは、いつからいつまでなのぉ?
取締役会設置会社などでは、株主総会の日の3週間前の日か、招集通知を発した日の、どちらか早い日から、総会の日の後3か月を経過する日までよ(325条の3)。
招集通知のほうは、電子提供措置をとる場合、公開会社かどうかを問わず2週間前までに発するわ(325条の4)。
ネットが苦手な株主は、困っちゃうじゃん?
だから書面交付請求があるの。
株主は会社に対して、電子提供される事項を記載した書面の交付を請求できるわ(325条の5)。
資料はウェブで早めに提供し、紙がよい株主には書面で、という二段構えですね。
確認クイズ
株主総会資料の電子提供制度に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 電子提供措置は、定款に定めがなくても、取締役会の決議があればとることができる。
- 電子提供措置をとる旨の定款の定めがある取締役会設置会社の取締役は、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から、電子提供措置をとらなければならない。
- 電子提供措置をとる旨の定款の定めがある会社の株主は、電子提供される事項を記載した書面の交付を請求することができない。
- 振替株式を発行する会社であっても、電子提供措置をとる旨を定款で定めるかどうかは任意である。
こたえを見る
正解: 2. 電子提供措置をとる旨の定款の定めがある取締役会設置会社の取締役は、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から、電子提供措置をとらなければならない。
選択肢2が正しい。電子提供措置は、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から、総会の日後3か月を経過する日まで継続してとる(325条の3)。選択肢1は誤り。電子提供措置をとるには定款の定めが必要である(325条の2)。選択肢3は誤り。株主は書面交付請求をすることができる(325条の5)。選択肢4は誤り。振替株式を発行する会社は、電子提供措置をとる旨を定款で定めなければならない。