株式は、株主の地位を細かく割ったものです。原則は平等。ただし会社法は、内容の異なる種類株式や、譲渡に会社の承認を要する株式を認めています。譲渡制限株式の承認手続と自己株式が頻出です。
先生、まず株主平等原則の確認をさせてください。
株主は、その有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱われる、ということでよいですか。
そのとおり。
「頭数で平等」ではなく「株式の内容と数に応じて平等」。
1株しか持たない人と1万株持つ人が同じ扱い、という意味ではないわ。
えーっ! じゃあ結局お金持ちが強いんじゃん?
出資に応じたリターンとリスク、と考えて。
ただし例外があるの。公開会社でない株式会社は、剰余金の配当・残余財産の分配・議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定められるわ。
うぅ〜ん、株式にも味ちがいがあるって聞いたよ。
優先株、とか。
種類株式ね。
配当優先、議決権制限、譲渡制限、取得請求権付、取得条項付、全部取得条項付、拒否権付、と多彩よ。
取締役・監査役の選任に関する種類株式は、公開会社と指名委員会等設置会社では発行できない、という点も押さえて。
実務でよく出てくるのは譲渡制限株式ですね。
承認機関はどこですか。
原則、取締役会設置会社なら取締役会、それ以外なら株主総会。
定款で別に定めることもできるわ。
会社が「その人はイヤ」って言ったら、株主は売れなくて詰むの?
そこは配慮されていて、承認しない場合は会社または指定買取人が買い取ることになるの。
投下資本を回収する道は残されているのよ。
しかも会社が請求の日から2週間以内に決定内容を通知しなければ、承認したものとみなされる。
放置は許されないの。
…承認をもらわないで売っちゃったら、その売買はぜんぶ無効になるの?
いい着眼点ね。
判例は、譲渡当事者間では有効とするわ。
ただし会社に対しては効力を主張できない。
だから会社は名義書換えを拒める。
つまり、無効になるのは対会社の関係だけ、という理解で合っていますか。
ところで自己株式についても確認させてください。
ええ、その理解で正確よ。
自己株式は取得事由が限定されていて、株主との合意による有償取得には株主総会の決議が必要。特定の株主から取得する場合は特別決議で、他の株主は自分も売主に加えるよう請求できるわ。
会社が自分の株を持ったら、その分の議決権はどうなるの? 自分で自分に投票できたら無敵じゃん?
ジャスミンさん、そこが核心。自己株式に議決権はない。
剰余金の配当も受けられないわ。
経営者が会社のお金で議決権を作り出すのを防ぐためね。
取得の財源も分配可能額の範囲内に限られますね。
実質的に株主への払戻しですから。
確認クイズ
株式に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 株式会社が有する自己株式についても、株主総会において議決権を行使することができる。
- 会社の承認を得ずになされた譲渡制限株式の譲渡は、譲渡当事者間においても無効である。
- 譲渡等承認請求を受けた会社が、請求の日から2週間以内に決定の内容を通知しなかったときは、譲渡を承認したものとみなされる。
- 公開会社でない株式会社であっても、剰余金の配当について株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることはできない。
こたえを見る
正解: 3. 譲渡等承認請求を受けた会社が、請求の日から2週間以内に決定の内容を通知しなかったときは、譲渡を承認したものとみなされる。
選択肢3が正しい。会社が譲渡等承認請求の日から2週間以内に決定の内容を通知しないときは、承認したものとみなされる。選択肢1は誤り。自己株式に議決権はない。選択肢2は誤り。判例は、承認を欠く譲渡制限株式の譲渡も譲渡当事者間では有効とし、会社に対して効力を主張できないにとどまるとする。選択肢4は誤り。公開会社でない株式会社は、剰余金の配当・残余財産の分配・議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができる。