自分が直接手を下していなくても責任を負う場合があります。子どもの加害、従業員の失敗、建物の欠陥、飼い犬の噛みつき――。709条の特則である特殊の不法行為を、誰がどんな要件で責任を負うのか、免責の可否を軸に整理します。
先生、子どもが友達にケガさせたら、親が賠償するんでしょ? 子ども本人じゃなくて?
それが責任無能力者の監督義務者責任よ(714条)。
自分の行為の責任を弁識する能力のない未成年者などが加害したとき、本人は免責され、代わりに監督義務者が責任を負うの。
ただし監督義務者は、監督義務を怠らなかったこと、または怠らなくても損害が生じたことを証明すれば免責される(714条1項ただし書)、という理解で合っていますか?
そのとおり、つむぎさん。
この免責の余地があるのがポイント。
次に会社がよく問われる使用者責任(715条)。
従業員が仕事中に起こした事故は、会社が責任を負うのぉ?
そう、ましろさん。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(715条)。
会社が賠償するの。
使用者責任も、使用者が被用者の選任・監督について相当の注意をしたことを証明すれば免責される建前ですが、判例上、免責はほとんど認められないのですよね。
鋭いわ。
それと、賠償した使用者は被用者に求償できるけど、信義則上、相当な範囲に制限されるのが判例よ。
工事を頼んだ場合は? 頼んだ人が責任負うの?
注文者の責任ね(716条)。
注文者は原則として請負人の加害について責任を負わないの。
ただし注文または指図に過失があったときは責任を負う。
原則免責が特徴よ。
古い塀が倒れてケガをさせたら、誰が責任を負うのぉ?
土地工作物責任(717条)。
まず占有者が責任を負うけど、占有者が損害防止に必要な注意をしたときは免責され、次に所有者が責任を負う。
この所有者の責任は無過失責任で、免責されないの。
占有者は過失責任(免責あり)、所有者は無過失責任(免責なし)という二段構えですね。
動物占有者の責任(718条)も、占有者が相当の注意をもって管理したことを証明すれば免責される点で類似しています。
よく整理できたわ。
最後に共同不法行為(719条)。
数人が共同で他人に損害を加えたときは、各自が連帯して全額の賠償責任を負う。
被害者は誰にでも全額請求できるの。
無過失責任は所有者と…えっと、免責できないやつをしっかり覚えなきゃ! よっしゃ!
確認クイズ
特殊の不法行為に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 土地の工作物の設置または保存に瑕疵があり他人に損害が生じた場合、所有者は損害の発生防止に必要な注意をしたことを証明すれば責任を免れる
- 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害について、注文または指図に過失がない限り、原則として責任を負わない
- 使用者責任に基づいて損害を賠償した使用者は、被用者に対して求償することは一切できない
- 責任を弁識する能力のない未成年者が他人に損害を加えた場合、その未成年者自身が損害賠償責任を負う
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正解: 2. 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害について、注文または指図に過失がない限り、原則として責任を負わない
選択肢2が正しい。716条のとおり、注文者は原則として責任を負わず、注文・指図に過失があるときに限り責任を負う。選択肢1は誤り。工作物の所有者は無過失責任を負い、免責されない(717条1項ただし書)。選択肢3は誤り。使用者は被用者に求償できるが、信義則上相当な範囲に制限される(判例)。選択肢4は誤り。責任無能力者は賠償責任を負わず、監督義務者が責任を負う(714条)。