「本気じゃなかった」「二人でグルになって嘘の契約をした」――こうした意思と表示が食い違う場面を、民法93条・94条が扱います。とくに94条2項の第三者保護と類推適用は、記述・択一の超頻出です。
先生、冗談で『この時計あげるよ』って言っちゃったら、本当にあげなきゃいけないの?
それが心裡留保よ。
表意者が本心でないと知りながらする意思表示。
原則は有効なの。
冗談でも相手は本気にするからね。
ただし、相手方が表意者の真意を知り、または知ることができたとき(悪意・有過失)は無効になりますよね。
そのとおり。
93条1項ただし書ね。
そして、その無効は善意の第三者には対抗できない、と2項が定めているわ。
うぅ〜ん、じゃあ二人で示し合わせて嘘の契約をしたときは?
それが通謀虚偽表示、94条ね。
相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効。
たとえば債権者から財産を隠すため、友人名義に売ったことにする、というような場合よ。
でも、その虚偽の外観を信じて取引に入った94条2項の第三者は保護されます。
『善意の第三者に対抗することができない』と。
要は、嘘の見た目を作った本人が悪いんだから、それを信じちゃった人を守る、ってこと?
ジャスミンさん、まさにその発想。
虚偽の外観を作り出した者は、それを信頼した第三者に文句を言えない。
ここでの第三者は善意で足り、無過失までは必要ないとされているわ。
この考え方を、通謀がない場合にも広げたのが94条2項類推適用ですね。
真の権利者が虚偽の外観の作出に関与し、第三者がそれを信頼した場合に、権利者は権利を失う。
そう。
判例は、本人の帰責性と第三者の信頼保護を天秤にかけて、94条2項を類推適用してきたわ。
登記名義を他人に与えたまま放置した事案などが典型ね。
…外観を作った責任って、意外と重いんだね。
確認クイズ
心裡留保・通謀虚偽表示に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 心裡留保による意思表示は、相手方が真意でないことを知っていた場合でも常に有効である
- 通謀虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない
- 94条2項の第三者として保護されるためには、善意かつ無過失であることを要する
- 真の権利者に帰責性があっても、通謀がない以上、94条2項が類推適用される余地はない
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正解: 2. 通謀虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない
選択肢2が正しい(民法94条2項)。選択肢1は誤り。相手方が悪意・有過失なら無効となる(93条1項ただし書)。選択肢3は誤り。94条2項の第三者は善意で足り、無過失までは要求されないと解されている。選択肢4は誤り。判例は本人の帰責性と第三者の信頼を要件に94条2項の類推適用を認めている。