民法は私人と私人の関係を定める最も基礎的な法律です。まずは民法という巨大な建物の見取り図と、全体を貫く4つの基本原則を押さえましょう。ここが分かると、以降の論点が驚くほど整理されます。
先生、民法ってとにかく分厚いじゃん? どこから手をつければいいの〜?
気持ちは分かるわ。
でもね、民法はパンデクテン方式という設計で作られていて、共通ルールを前に「くくり出す」構造になっているの。
総則→物権→債権→親族→相続、の順ですね。
前半の総則に、全部に共通するルールがまとめられている、という理解で合っていますか?
そのとおり。
だから総則を最初に固めると、あとで何度も効いてくるのよ。
うぅ〜ん、共通のルールって、たとえばどんなものなのぉ?
民法1条が有名ね。
私権は公共の福祉に適合しなければならない(私権の公共性)、権利の行使と義務の履行は信義誠実の原則に従う、そして権利濫用の禁止。
この3つが1条にまとまっているの。
権利の濫用って、要は「権利があっても、やりすぎたらダメ」ってこと?
うまい言い方ね。
判例でも、形式的には権利の行使に見えても、目的や結果が著しく不当なら濫用として認めない、という判断がされているわ。
あわせて、私的自治の原則、とりわけ契約自由の原則が近代民法の柱ですよね。
誰と・どんな内容で契約するかは、原則として当事者の自由。
それって…自由だけど、その分ちゃんと責任も自分で持つ、ってことだよね。
ましろちゃん、鋭いわ。
自由には自己責任が伴う。
だから信義則という「ブレーキ」も一緒に置かれているの。
確認クイズ
民法の基本原則に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 民法1条は、私権は公共の福祉に適合しなければならないと定めている
- 信義誠実の原則は、契約締結後の当事者にのみ適用され、契約交渉段階には及ばない
- 権利の行使であれば、その目的や結果を問わず、常に適法と評価される
- パンデクテン方式とは、事例ごとに個別の条文を列挙する編別方式をいう
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正解: 1. 民法1条は、私権は公共の福祉に適合しなければならないと定めている
選択肢1が正しい。民法1条1項は私権の公共性を定める。選択肢2は誤り。信義則は契約交渉・締結準備段階にも及ぶとされる。選択肢3は誤り。形式的に権利行使でも、権利濫用にあたれば効果は認められない(民法1条3項)。選択肢4は誤り。パンデクテン方式は共通ルールを総則として前にくくり出す方式で、個別列挙方式ではない。