契約が有効に成立するには、当事者にどんな「資格」が必要でしょうか。民法は能力を3層に分けて考えます。とくに制限行為能力者の保護は、択一の頻出テーマです。
先生、権利能力・意思能力・行為能力は、いつも混乱してしまいます。
整理していただけますか?
いいわよ。権利能力は「権利義務の主体になれる資格」。
人は出生で取得し、死亡で失う。
誰もが平等に持つ、いわば入場券ね。
次に意思能力は「自分の行為の結果を判断できる能力」。
これを欠く者がした法律行為は無効よ。
じゃあ行為能力は?
行為能力は「単独で確定的に有効な法律行為ができる資格」。
これが制限される人=制限行為能力者を、民法は類型で保護しているの。
未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人の4類型ですね。
そう。
未成年者が単独でした契約は原則取り消せる。
ただし、単に権利を得るだけ・義務を免れるだけの行為や、処分を許された財産の処分などは例外的に単独でできるわ。
うぅ〜ん、成年被後見人は、日用品を買うのはどうなるのぉ?
いい着眼点ね。成年被後見人の行為は原則取り消せるけれど、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せないの。
ここは例外。
取り消せるってことは…相手側は不安定でモヤモヤしない?
だから相手方には催告権があるのよ。
1か月以上の期間を定めて「追認するか答えて」と促せる。
返事がないときの効果は、誰に催告したかで変わるわ。
制限行為能力者が詐術を用いたときは、取消しができなくなりますよね。
「自分は行為能力者だ」と偽った者を保護する必要はない、と。
そのとおり。
ここは『保護に値しない者は保護しない』という民法の価値判断が出るところよ。
確認クイズ
制限行為能力者に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 意思能力を欠く者がした法律行為は、取り消すことができる
- 成年被後見人が日用品を購入した行為は、常に取り消すことができる
- 制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない
- 未成年者が単に権利を得るだけの贈与を受ける行為も、法定代理人の同意がなければ取り消せる
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正解: 3. 制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない
選択肢3が正しい(民法21条)。選択肢1は誤り。意思無能力者の法律行為は取消しではなく無効。選択肢2は誤り。成年被後見人でも日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せない。選択肢4は誤り。単に権利を得るだけの行為は未成年者も単独ででき、取り消せない。