不法行為① - 709条の成立要件・過失相殺・消滅時効

一般不法行為709条の4要件、任意的な過失相殺、金銭賠償の原則、そして3年・5年・20年の消滅時効を契約責任と対比して整理します。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

交通事故や名誉毀損――他人に損害を与えたら賠償責任を負う。その一般ルールが709条の一般不法行為です。4つの成立要件、被害者の落ち度を斟酌する過失相殺、そして期間制限を、契約責任との違いを意識して押さえます。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

先生、事故で人にケガさせたら賠償するんだよね? それって条文のどこ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

民法709条ね。一般不法行為の基本条文よ。
成立要件は4つ。
まず故意過失、次に他人の権利または法律上保護される利益の侵害、そして損害の発生、最後に行為と損害の因果関係。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

『権利』だけでなく『法律上保護される利益』の侵害も含まれる点が、平成の改正で明文化されましたね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう、つむぎさん。
プライバシーなど、明確な権利とは言い切れない利益も保護対象になったの。
それと立証責任は、原則として被害者側が加害者の故意過失を証明するのよ。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

うぅ〜ん、被害者が証明するの大変そうなのぉ…。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そうね、そこが契約責任との違い。
債務不履行では債務者が帰責事由の不存在を証明する側だけど、不法行為では被害者が過失を証明する。
立証責任の所在が逆なの。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

事故のとき、自分も信号無視してたら? やっぱり減るの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

過失相殺よ(722条2項)。
被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して賠償額を定めることができる。
ただし『できる』であって任意的なの。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

債務不履行の過失相殺(418条)が必須的だったのに対し、不法行為(722条2項)は任意的で、しかも斟酌の対象は賠償額のみで責任の有無には及ばない――この対比ですね。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

つむぎさん、まさにそこが最頻出の対比。
よく覚えていたわね。
損害賠償の方法は原則金銭賠償(722条1項・417条準用)。
名誉毀損では、裁判所は謝罪広告など名誉回復に適当な処分も命じられる(723条)わ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

賠償を求められる期間って、決まってるのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

消滅時効ね(724条)。
被害者等が損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効消滅するの。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

3年と20年! でもさっき『人の生命身体』は特別って聞いた気がする。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

よく覚えていたわね。人の生命身体を害する不法行為による賠償請求権は、主観的起算点の3年が5年に伸長されるの(724条の2)。
被害者保護のための特則よ。
3年・5年・20年、セットで押さえて。

確認クイズ

不法行為に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する
  2. 人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する
  3. 不法行為における過失相殺では、裁判所は被害者の過失を必ず考慮しなければならない
  4. 不法行為の成立において、加害者が自らに故意または過失がなかったことを証明する責任を負う
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正解: 2. 人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する

選択肢2が正しい。724条の2により、人の生命身体を害する不法行為では主観的起算点からの時効期間が5年に伸長される。選択肢1は誤り。主観的起算点からの期間は3年である(724条1号)。選択肢3は誤り。722条2項の過失相殺は『考慮することができる』任意的なものである。選択肢4は誤り。原則として被害者側が加害者の故意過失を立証する責任を負う。

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