請負・委任・寄託 - 契約不適合責任・任意解除権・善管注意義務

仕事の完成を目的とする請負と事務処理を目的とする委任の違い、請負の契約不適合責任と注文者の解除権、委任の任意解除権・報酬を整理します。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

仕事を頼む契約にもいろいろあります。完成という結果を約束する請負、事務処理を任せる委任、物を預ける寄託。それぞれ責任や解除のルールが異なります。試験で狙われる相違点を中心に整理しましょう。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

請負と委任って、どっちも『お願いする』契約だよね? どこが違うのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いい着眼点ね、ましろさん。請負は『仕事の完成』を目的とする契約(632条)。
家を建てる、洋服を仕立てる。
結果に責任を持つの。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

対して委任は『事務の処理』を目的とし(643条)、結果の完成までは約束しない。
だから受任者は結果が出なくても善管注意義務を尽くせば責任を問われない、という理解で合っていますか?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり、つむぎさん。善管注意義務(644条)ね。
受任者は善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
無償でもこの注意義務は同じ水準よ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

建てた家に欠陥があったら、請負人はどうなるの? やっぱり責任取るんでしょ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

請負人も契約不適合責任を負うわ。
売買の規定が準用され、注文者は追完請求・報酬減額・損害賠償・解除ができるの。
ただし注文者の供した材料や指図が原因なら、原則として請負人は責任を負わないわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

注文者の解除権も特徴的ですね。
請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できる(641条)。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう、注文者の解除権。
仕事が不要になった注文者を縛らないためね。
それと報酬は、完成した部分が可分で注文者が利益を受けるなら、割合的報酬を請求できる(634条)。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

委任のほうは、途中でやめられるの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

委任の任意解除権よ(651条)。
委任は当事者のどちらからでも、いつでも解除できるの。
信頼関係が基礎だからね。
ただし相手に不利な時期の解除や、受任者の利益をも目的とする委任を解除したときは、原則損害賠償が必要よ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

報酬は、委任だともらえないこともあるのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

委任は原則無償(648条1項)。
特約があって初めて報酬請求できるの。
報酬は原則後払い。
寄託も原則無償で、無報酬の受寄者は『自己の財産と同一の注意』で足りる(659条)点が、有償や委任の善管注意義務との違いね。

戸倉 ジャスミン(笑顔) 戸倉 ジャスミン

なるほど、タダで預かるなら注意のレベルもちょっと下がるんだ。
よっしゃ、区別ついた!

確認クイズ

請負・委任・寄託に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 請負契約において、注文者は、請負人が仕事を完成した後でなければ契約を解除できない
  2. 委任契約は、各当事者がいつでもその解除をすることができる
  3. 無報酬で物を預かった受寄者は、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない
  4. 委任は有償が原則であり、特約がなくても受任者は当然に報酬を請求できる
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正解: 2. 委任契約は、各当事者がいつでもその解除をすることができる

選択肢2が正しい。651条1項により、委任は各当事者がいつでも解除できる。選択肢1は誤り。注文者は請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して解除できる(641条)。選択肢3は誤り。無報酬の受寄者は自己の財産に対するのと同一の注意で足りる(659条)。選択肢4は誤り。委任は原則無償であり、特約がなければ報酬を請求できない(648条1項)。

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