部屋を借りる、土地を借りる――賃貸借は暮らしに直結する契約です。借主をどう守るのか、又貸しは許されるのか、敷金は返ってくるのか。対抗力・賃借権の譲渡転貸・敷金・原状回復を、タダで借りる使用貸借との違いを意識して整理します。
先生、アパート借りてるのに大家さんが建物を売っちゃったら、あたし追い出されるの?
心配いらないわ。
賃貸借の対抗力ね。
不動産賃借権は登記すれば新所有者に対抗できる(605条)。
でも実際は借主が登記請求権を持たないから…
そこで借地借家法ですね。
建物賃貸借は建物の引渡しがあれば対抗力を備え(借地借家法31条)、借地権は借地上の建物の登記があれば対抗できる(同10条)。
つむぎさん、さすがよ。
だから鍵を受け取って住んでいれば、新しい大家にも『借りてます』と主張できるの。
追い出されないわ。
よかった〜! じゃあ、友達に又貸しするのはOK?
それは要注意。賃借権の譲渡や転貸(又貸し)には、賃貸人の承諾が必要なの(612条1項)。
承諾なく第三者に使用させると、原則として賃貸人は契約を解除できる。
無断で又貸ししたら、すぐ追い出されちゃうのぉ?
ここが判例の重要ポイント。
無断転貸でも、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は解除できないとされているの。
信頼関係破壊の法理ね。
適法な転貸がされた場合、転借人は賃貸人に対して直接義務を負う(613条1項)。
賃貸人は転借人に直接賃料を請求できるのですよね。
そのとおり。
次は退去時に揉める敷金(622条の2)。
賃貸借が終了して明渡しがされたとき、未払賃料などを差し引いた残額を返還する義務が生じるの。
順番大事だよね? お金返してもらってから出ていく、じゃダメなの?
ダメなの。
明渡しが先、敷金返還が後。
両者は同時履行の関係に立たないというのが判例よ。
ここも引っかけ頻出。
原状回復義務についても明文化されました。
通常損耗や経年変化は借主の原状回復義務に含まれない(621条)。
そう、原状回復義務。
普通に使ってできた傷みは大家の負担。
借主の故意過失による損傷だけ回復すればいいの。
あと大家の修繕義務(606条)も忘れずに。
使用貸借はタダで借りる契約だから、借主が通常の必要費を負担する点など、賃貸借と違いが多いわ。
確認クイズ
賃貸借に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を転貸した場合、賃貸人は、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があっても常に契約を解除できる
- 建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば新たな所有者に賃借権を対抗できる
- 賃貸借終了に伴う敷金の返還と目的物の明渡しは、同時履行の関係に立つ
- 賃借物の通常の使用によって生じた損耗の原状回復は、賃借人がその費用を負担しなければならない
こたえを見る
正解: 2. 建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば新たな所有者に賃借権を対抗できる
選択肢2が正しい。借地借家法31条により、建物の引渡しがあれば賃借権を対抗できる。選択肢1は誤り。無断転貸でも背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば解除できない(判例)。選択肢3は誤り。明渡しが先履行であり、敷金返還と同時履行の関係に立たない(判例)。選択肢4は誤り。通常損耗・経年変化は賃借人の原状回復義務に含まれない(621条)。