相殺・更改・免除・混同 - 相殺適状と差押えと相殺

お互いの債権を帳消しにする相殺の相殺適状・相殺禁止・差押えとの関係を中心に、更改・免除・混同という債権消滅原因を整理します。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

弁済以外にも債権が消える原因があります。お互いの債権をぶつけて帳消しにする相殺、新しい債務に置き換える更改、タダにする免除、債権者と債務者が同一人になる混同。とくに出題の中心となる相殺の要件と、差押えとの関係を重点的に押さえます。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

先生、相殺ってお互いの貸し借りをチャラにするやつだよね? どういうときにできるの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。相殺をするには相殺適状が必要よ(505条)。
二人が互いに同種の目的の債務を負っていて、双方の債務が弁済期にあること。
これが基本ね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

正確には、自働債権(相殺する側の債権)は弁済期にある必要がありますが、受働債権(相殺される側)は、相殺者が期限の利益を放棄できるので、弁済期未到来でも相殺できる、という理解で合っていますか?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

つむぎさん、さすが。
まさにそこが引っかけどころ。
自働債権は弁済期到来が必要、受働債権は期限の利益を放棄すれば足りるの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

相殺できないこともあるのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

相殺禁止ね。
当事者が相殺禁止の意思表示をした場合(505条2項)や、悪意による不法行為・人の生命身体の侵害による損害賠償債権を受働債権とする相殺は禁止(509条)。
加害者が相殺で逃げるのを防ぐためよ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

『悪意による不法行為』の賠償を、相殺でチャラにされたら被害者が可哀想だもんね。
なるほど。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
それと超頻出が差押えと相殺(511条)。
自分の債権が差し押さえられた第三債務者が、相殺で対抗できるかという問題。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

判例・現行法では、差押え前に取得した債権による相殺は、両債権の弁済期の先後を問わず差押債権者に対抗できる(511条1項)、ということですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
しかも差押え後に取得した債権でも、差押え前の原因に基づいて生じた債権なら相殺で対抗できる(511条2項)。
改正で明確化されたわ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

更改とか免除は、さらっとでいいのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

更改(513条)は、給付の内容や当事者を変える新債務を成立させ、旧債務を消滅させる契約。免除(519条)は債権者の一方的意思表示で債権を消滅させる単独行為。混同(520条)は債権者と債務者が同一人になったときの消滅よ。
相続で親の借金を子が相続するような場面ね。

戸倉 ジャスミン(笑い) 戸倉 ジャスミン

よっしゃ、相殺だけは要件しっかり、あとの3つは定義でおさえる! 作戦決まった!

確認クイズ

相殺に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 自働債権の弁済期が到来していなくても、受働債権の弁済期が到来していれば相殺できる
  2. 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負う者は、これを受働債権として相殺することができない
  3. 相殺は、当事者双方の合意がなければすることができない
  4. 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権であっても相殺をもって差押債権者に対抗できない
こたえを見る

正解: 2. 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負う者は、これを受働債権として相殺することができない

選択肢2が正しい。509条1号により、悪意による不法行為に基づく損害賠償債務を受働債権とする相殺は禁止される。選択肢1は誤り。相殺するには自働債権の弁済期が到来していなければならない(受働債権は期限の利益放棄で足りる)。選択肢3は誤り。相殺は一方的な意思表示によってできる単独行為である(506条)。選択肢4は誤り。差押え前に取得した債権による相殺は差押債権者に対抗できる(511条1項)。

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