債権が消える最も基本的な原因が弁済です。誰が弁済できるのか、間違った相手に払ってしまったらどうなるのか、弁済した第三者はどんな権利を得るのか。第三者弁済・受領権者としての外観・弁済による代位・充当・代物弁済・供託を押さえます。
先生、借金って本人じゃなくても払えるの? 親が代わりに払うとかよく聞くけど。
第三者弁済ね(474条)。
原則として第三者も弁済できるわ。
ただし正当な利益を持たない第三者は、債務者の意思に反しては原則弁済できないの。
さらに、正当な利益を有しない第三者は、債権者の意思に反しても弁済できないのですよね(474条3項)。
物上保証人など正当な利益がある者は、債務者の意思に反しても弁済できる。
完璧よ、つむぎさん。
ここが場合分けの多いところ。
次に、うっかり本物じゃない人に払ってしまったケース。
偽物の債権者に払っちゃったら……お金は戻ってこないのぉ?
そこで受領権者としての外観を有する者への弁済(478条)。
取引上の社会通念に照らして受領権者らしい外観の者に、善意かつ無過失で弁済すれば、その弁済は有効になるの。
二重払いを免れるわ。
善意だけじゃダメで、無過失もいるんだね。
よっしゃ、そこメモ!
そう。
善意・無過失がセットよ。
そして、他人の債務を弁済した人は、その債権者に代位できる(499条)。
これが弁済による代位。
求償権を確保するために債権者の権利を代わりに行使できるの。
改正で、正当な利益のある者もない者も、弁済によって当然に代位するようになりましたね。
従来の任意代位で必要だった債権者の承諾は不要になった。
そのとおり。
ただし正当な利益がない者が代位を債務者・第三者に対抗するには、債権譲渡の対抗要件が必要よ(500条)。
何回かに分けて払うとき、どの借金に充てるかで揉めそうなのぉ。
弁済の充当ね(488条以下)。
当事者の合意が最優先、なければ弁済者の指定、それもなければ法定充当。
順番があるの。
それと、お金の代わりに物で払う代物弁済(482条)は、契約そのものは合意で成立するけれど、債務が消滅するのは他の給付を実際にした時、という点がポイント。
受け取ってもらえないときは供託ですね。
弁済者は供託所に供託することで債務を免れる(494条)。
そう、供託(494条)。
受領拒絶・受領不能・債権者不確知のときに使える。
これで債務を消せるわ。
確認クイズ
弁済に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 受領権者としての外観を有する者に対する弁済は、弁済者が善意であれば過失があっても常に有効である
- 弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債権者の意思に反して弁済することができない
- 代物弁済は、当事者が本来の給付に代えて他の給付をする旨を合意した時点で、給付をしなくても債務消滅の効力を生じる
- 弁済による代位が生じるには、常に債権者の承諾が必要である
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正解: 2. 弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債権者の意思に反して弁済することができない
選択肢2が正しい。474条3項本文により、正当な利益を有しない第三者は債権者の意思に反して弁済することができない。選択肢1は誤り。478条は善意かつ無過失を要する。選択肢3は誤り。代物弁済は現実に給付をして初めて債務消滅の効力を生じる(482条)。選択肢4は誤り。現行法では弁済者は当然に代位し、債権者の承諾は不要である(499条)。