約束したのに履行しない――そんなとき債権者は何を請求できるのでしょうか。債務不履行の3類型と、賠償請求の前提となる帰責事由、そして買主側の救済である追完請求・代金減額請求までを整理します。
先生、債務不履行って要は『約束破った!』ってことでしょ? そんなに種類あるの?
元気ね。
大きく3つに分けるのよ。
期限に遅れる履行遅滞、もう履行できない履行不能、そして中途半端な不完全履行。
履行遅滞は、確定期限なら期限到来時、不確定期限なら期限到来を知ったときか請求を受けたとき、期限の定めがなければ請求を受けたときから遅滞になる……という理解で合っていますか?
完璧よ、つむぎさん。
412条ね。
そして履行不能は、契約その他の債務の発生原因と取引上の社会通念に照らして不能かどうかを判断するの(412条の2)。
うぅ〜ん…でも、履行できなくなっても、必ず損害賠償になるわけじゃないんだよね?
鋭いわね、ましろさん。
損害賠償を請求するには、債務者に帰責事由が必要なの。
415条1項ただし書で、契約や取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由なら、賠償責任を負わないわ。
つまり、履行遅滞や履行不能などの『不履行の事実』と、免責されないための『帰責事由』は別レイヤーの問題ということですね。
じゃあさ、買った品物が注文とちょっと違ってたら? 泣き寝入り?
いいえ。
買主には追完請求権があるの(562条)。
修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを求められるわ。
追完がされないときは代金減額請求もできる(563条)。
追完が先で、ダメなら減額……順番があるのぉ。
えへへ、覚えやすい。
そうそう。
原則は『まず追完を催告』、追完不能や拒絶が明らかなら催告不要で即減額。
この流れが記述でも問われるわ。
確認クイズ
債務不履行に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 期限の定めのない債務は、契約成立と同時に当然に履行遅滞となる
- 履行不能かどうかは、契約その他の債務の発生原因と取引上の社会通念に照らして判断される
- 債務者は、帰責事由の有無にかかわらず常に損害賠償責任を負う
- 買主は、目的物に不適合があっても追完を求めることはできず、直ちに契約を解除するほかない
こたえを見る
正解: 2. 履行不能かどうかは、契約その他の債務の発生原因と取引上の社会通念に照らして判断される
選択肢2が正しい。412条の2第1項のとおり、履行不能は契約その他の債務の発生原因と取引上の社会通念に照らして判断する。選択肢1は誤り。期限の定めのない債務は履行の請求を受けた時から遅滞となる(412条3項)。選択肢3は誤り。415条1項ただし書により、契約や取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由による不履行では賠償責任を負わない。選択肢4は誤り。買主はまず追完(修補・代替物・不足分の引渡し)を請求できる(562条)。