抵当権は担保物権の王様です。目的物を債務者に使わせたまま担保にとれるため、実務でも最重要。効力の範囲、物上代位、法定地上権の4要件、根抵当権、そして非典型担保まで一気に押さえます。
先生、抵当権って住宅ローンでよく聞くけど、家に住んだまま担保にできるんだよね?
そのとおりよ。抵当権は、目的物の占有を設定者のもとに残したまま設定できる担保物権。
だから使い勝手がよくて、実務の主役なの。
抵当権の効力は、目的物だけでなく付加一体物にも及びますね(370条)。
付合物や、原則として従物にも及ぶと解されています。
よく勉強しているわね。
さらに物上代位によって、目的物の売却代金・賃料・保険金などにも及ぶわ。
ただし払渡し前の差押えが必要な点は総論どおりよ。
うぅ〜ん、土地と建物を別々に抵当に入れると、ややこしくならないのぉ?
鋭いわ、ましろちゃん。
そこで法定地上権という制度があるの。
競売で土地と建物の所有者が別々になったとき、建物のために地上権が法律上当然に発生する仕組みよ。
成立要件は4つですね。
①抵当権設定当時、土地の上に建物が存在すること、②その当時、土地と建物が同一人の所有に属すること、③土地・建物の一方または双方に抵当権が設定されたこと、④競売により土地と建物の所有者が異なるに至ったこと。
完璧な整理よ。
設定当時に建物がなければ法定地上権は成立しない、という点が頻出ね。
あわせて、更地に抵当権を設定した後に建物が築造された場合、抵当権者は土地とともに建物を競売できる一括競売が認められているわ。
抵当に入った建物に、借りて住んでる人がいたら追い出されちゃうの?
抵当権に後れる賃借人は原則対抗できないけれど、保護もあるわ。
建物の明渡猶予制度で、競売の買受人に対し6か月間は明渡しが猶予されるの。
継続的な取引のために、一定の範囲の不特定の債権を極度額の限度で担保する根抵当権も重要ですね。
元本確定前は付従性・随伴性が緩和されます。
最後に、民法に明文のない非典型担保にも触れておきましょう。譲渡担保は、目的物の所有権を形式的に債権者へ移す形の担保。所有権留保は、代金完済まで売主が所有権を留保する形ね。
判例が積み重ねてきた分野よ。
抵当権って、覚えることの宝庫だ…でも要は『使わせたまま価値だけ押さえる』が核なんだね。
ジャスミンさん、その一言が本質。
ここは配点も高いから、要件を一つずつ確実にね。
確認クイズ
抵当権に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 抵当権を設定するには、目的物の占有を抵当権者に移転しなければならない
- 法定地上権は、抵当権設定当時に土地の上に建物が存在しなくても、後に建物が築造されれば当然に成立する
- 抵当権の目的物が売却された場合、抵当権者は、払渡し前に差押えをすれば、その売却代金に物上代位することができる
- 抵当権に後れる建物賃借人は、競売による買受人に対し、明渡しの猶予を一切受けられない
こたえを見る
正解: 3. 抵当権の目的物が売却された場合、抵当権者は、払渡し前に差押えをすれば、その売却代金に物上代位することができる
選択肢3が正しい。物上代位は払渡し前の差押えを要件に売却代金等に及ぶ。選択肢1は誤り。抵当権は占有を設定者に残したまま設定でき、占有移転は不要。選択肢2は誤り。法定地上権は設定当時に建物が存在することが要件で、更地に後から築造しても成立しない。選択肢4は誤り。抵当建物の賃借人には競売の買受人に対し6か月の明渡猶予が認められる。