占有権は『現に持っている』という事実状態そのものを保護する権利です。本権(所有権など)がなくても認められる点が独特です。占有訴権や果実収取、引渡しの4類型を確認しましょう。
先生、占有権って…ただ物を持ってるだけで、権利になるのぉ?
そうなの、ましろちゃん。占有権は『自己のためにする意思をもって物を所持する』という事実状態を保護する権利。
所有権のような本権がなくても認められるのが特徴よ。
占有の成立には、所持という客観的要素と、自己のためにする意思という主観的要素が必要ですね。
そのとおり。
だから占有は、事実状態を尊重して社会の秩序を保つための制度なの。
奪われても、実力で取り返すのではなく法的手続で回復させる。
もし占有を邪魔されたら、どうするの?
そこで占有訴権よ。
占有を奪われたら占有回収の訴え、妨害されたら占有保持の訴え、妨害のおそれがあれば占有保全の訴え。
物権的請求権とよく似た3本立てね。
占有回収の訴えは、原則として占有を侵奪された場合に限られ、侵奪の時から1年以内に提起しなければならない、という制限がありますね。
よく覚えているわね。
それから、他人の物を自分の物と信じて使っていた人の扱いも重要よ。
善意で使ってた場合?
ええ。善意占有者は、その占有物から生じる果実を取得できるの(果実収取権)。
たとえば善意で他人の果樹園を使っていたら、収穫した果実は返さなくてよい、という趣旨ね。
引渡しにも種類がありましたね。現実の引渡し・簡易の引渡し・占有改定・指図による占有移転の4類型。
そう。
現実に手渡す現実の引渡し、すでに相手が持っている簡易の引渡し、自分が持ったまま以後は相手のために占有する占有改定、第三者に『今後はこの人のために占有して』と指図する指図による占有移転。
この4つを区別できるようにね。
確認クイズ
占有権に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 占有回収の訴えは、占有を侵奪された時から10年以内に提起しなければならない
- 善意の占有者は、占有物から生じる果実を取得することができる
- 占有権は、所有権などの本権を有する者でなければ成立しない
- 占有の成立には所持のみで足り、自己のためにする意思は不要である
こたえを見る
正解: 2. 善意の占有者は、占有物から生じる果実を取得することができる
選択肢2が正しい。善意占有者は果実収取権を有する。選択肢1は誤り。占有回収の訴えは侵奪の時から1年以内に提起しなければならない。選択肢3は誤り。占有権は本権がなくても所持と意思で成立する。選択肢4は誤り。占有の成立には所持に加え自己のためにする意思が必要である。