動産の世界では、対抗要件は登記ではなく『引渡し』です。そして、無権利者から買っても保護される即時取得(善意取得)という強力な制度があります。要件と、盗品・遺失物の例外を押さえましょう。
先生、動産の対抗要件は引渡しですね(178条)。
不動産の登記に対応するものと理解しています。
そのとおり、つむぎさん。
動産の譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できない。
引渡しには現実の引渡しのほか、簡易の引渡し・占有改定・指図による占有移転も含まれるわ。
先生、もし持ち主じゃない人から買っちゃったら、その物は返さなきゃダメ?
そこで登場するのが即時取得(192条)。
取引行為によって、平穏・公然・善意・無過失で動産の占有を始めた者は、その動産の権利を取得するの。
要件を分解すると、①動産であること、②有効な取引行為による取得、③前主が無権利であること、④平穏・公然・善意・無過失で占有を取得したこと、ですね。
見事な整理。
善意・無過失は推定されるので、取り戻したい真の権利者側が『悪意・有過失だった』と立証する必要があるの。
ここは有利な扱いね。
うぅ〜ん、でも、盗まれた物や落とした物まで取られちゃうのは、かわいそうじゃないのぉ?
ましろちゃん、優しいわね。
だから例外があるの。盗品・遺失物の回復(193条)。
盗品・遺失物のときは、被害者・遺失者は盗難・遺失の時から2年間、占有者に対して物の回復を請求できるのよ。
ちょっと待って、占有改定でも即時取得できるの?
鋭い論点ね。
判例は、占有改定による占有取得では即時取得は成立しない、としているわ。
現実の支配の移転が必要という趣旨よ。
ちなみに、立木など地面に生えた物の物権変動を公示する慣習上の方法として明認方法がありますね。
動産の即時取得とは別の対抗手段です。
補足まで正確ね。
即時取得は動産の取引安全を支える大黒柱。
要件を一つずつ確実に言えるようにしましょう。
確認クイズ
動産物権変動・即時取得に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 即時取得が成立するには、占有取得者が善意無過失であることを、取得者自身が立証しなければならない
- 盗品または遺失物については、被害者または遺失者は、盗難または遺失の時から2年間、その物の回復を請求できる
- 占有改定による占有の取得によっても、即時取得は当然に成立する
- 動産に関する物権の譲渡は、登記をしなければ第三者に対抗することができない
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正解: 2. 盗品または遺失物については、被害者または遺失者は、盗難または遺失の時から2年間、その物の回復を請求できる
選択肢2が正しい(民法193条)。選択肢1は誤り。即時取得の善意無過失は推定され、争う真の権利者側が悪意・有過失を立証する。選択肢3は誤り。判例は占有改定では即時取得は成立しないとする。選択肢4は誤り。動産の対抗要件は引渡しであって登記ではない。