ここから物権に入ります。物権は『物を直接支配する権利』で、誰にでも主張できる強力な権利です。まずは物権を貫く2大原則と、侵害されたときに使える物権的請求権を押さえましょう。
先生、物権と債権の一番の違いは、物を『直接』支配できるかどうか、という理解で合っていますか?
合っているわ、つむぎさん。
物権は物に対する直接支配権で、しかも誰に対しても主張できる絶対権。
特定の人にしか請求できない債権とは強さが違うの。
強い権利なら、勝手にいろんな種類を作れちゃいそうだけど?
そこを縛るのが物権法定主義よ。
物権は民法その他の法律に定めるもの以外、当事者が勝手に創設できないの(175条)。
取引の安全のためね。
もう一つの柱が一物一権主義ですね。
一つの物には同じ内容の物権は一つしか成立しない。
そのとおり。
一個の物の一部や、複数の物の集合に、一個の所有権が成立するのは原則認められない、という考え方よ。
うぅ〜ん、もし物権が邪魔されたら、どうやって守るのぉ?
そこで登場するのが物権的請求権。
明文はないけれど、物権の効力として当然に認められる、と解されているの。
3種類あるわ。
占有を全部奪われたら返せと言う返還請求権、一部を妨げられたら除けと言う妨害排除請求権、妨害のおそれがあれば予防せよと言う妨害予防請求権よ。
要は、返せ・どけ・そうなる前に止めろ、の3つってこと?
ジャスミンさん、覚え方まで完璧。
物権が誰にでも主張できる絶対権だからこそ、こうした請求権が導かれるのよ。
所有権に基づく返還請求権は、所有権が存続する限り時効消滅しない、という点も押さえておきます。
確認クイズ
物権総論に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 当事者は、契約によって民法その他の法律に定めのない新たな物権を自由に創設することができる
- 物権的請求権には、返還請求権・妨害排除請求権・妨害予防請求権の三つがある
- 物権は、特定の債務者に対してのみ主張できる相対的な権利である
- 一物一権主義とは、一つの物に複数の異なる種類の物権が併存することを一切認めない原則をいう
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正解: 2. 物権的請求権には、返還請求権・妨害排除請求権・妨害予防請求権の三つがある
選択肢2が正しい。物権的請求権は3種に整理される。選択肢1は誤り。物権法定主義により法定外の物権は創設できない(175条)。選択肢3は誤り。物権は誰にでも主張できる絶対権。選択肢4は誤り。一物一権主義は同一内容の物権が二重に成立しないことをいうもので、所有権と抵当権のように種類の異なる物権が併存することは認められる。