時の経過が権利を生み、あるいは消す――それが時効です。まずは全時効に共通する総論、援用・放棄、そして改正で導入された『完成猶予』『更新』という枠組みを押さえます。
先生、長い時間がたつと、権利が消えたり生まれたりするのって…なんだか不思議なのぉ。
時効ね。
長く続いた事実状態を、法律関係として尊重する制度よ。
権利の上に眠る者は保護されない、なんて言われ方もするわ。
ただ、時効は完成しただけでは足りず、当事者が時効の援用をして初めて裁判上考慮されますよね。
そのとおり。
援用は『時効の利益を受ける』という意思表示。
援用できる者は、当事者だけでなく、保証人・物上保証人・第三取得者など、時効によって直接利益を受ける者に及ぶわ。
逆に、時効の利益は要らない、って言うこともできるの?
できるわ。
それが時効利益の放棄。
ただし、時効完成前にあらかじめ放棄することはできないの。
債権者が優位な立場で放棄を強いるのを防ぐためよ。
時効完成を知らずに債務を承認した場合はどうなりますか?
判例は、完成を知らずに承認した債務者は、その後に時効を援用することは信義則上許されない、としているわ。
放棄とは別の理屈だけれど、結論は援用できない、ね。
うぅ〜ん、途中で時効の進行が止まることもあるのぉ?
改正で整理されたのが完成猶予と更新よ。
完成猶予は、一定事由がある間は時効が完成しない(時計が一時停止)。
更新は、一定事由でそれまでの進行がリセットされ、新たにゼロから進行する(時計が振り出しに戻る)の。
たとえば裁判上の請求は、その間は完成猶予、確定判決等で権利が確定すれば更新、という流れですね。
承認は更新事由です。
よく整理できているわ。
催告は6か月の完成猶予にとどまり、それだけでは更新にならない点も要注意よ。
確認クイズ
時効の総論に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 時効は、当事者が援用しなくても、完成すれば裁判所が当然にこれを考慮しなければならない
- 時効の利益は、時効の完成前にあらかじめ放棄することができる
- 時効の更新があると、それまで経過した期間はリセットされ、新たにゼロから時効期間が進行する
- 催告は、それだけで時効の更新事由となる
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正解: 3. 時効の更新があると、それまで経過した期間はリセットされ、新たにゼロから時効期間が進行する
選択肢3が正しい。更新は進行中の期間をリセットし新たに進行させる。選択肢1は誤り。時効は当事者の援用が必要。選択肢2は誤り。時効利益の放棄は完成前にはできない。選択肢4は誤り。催告は6か月間の完成猶予にとどまり、それだけでは更新の効果を生じない。