時効① 総論 - 援用・時効利益の放棄・完成猶予と更新

時効の基本思想、援用権者の範囲、放棄の制限、そして改正で整理された完成猶予・更新の枠組みを押さえます。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

時の経過が権利を生み、あるいは消す――それが時効です。まずは全時効に共通する総論、援用・放棄、そして改正で導入された『完成猶予』『更新』という枠組みを押さえます。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

先生、長い時間がたつと、権利が消えたり生まれたりするのって…なんだか不思議なのぉ。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

時効ね。
長く続いた事実状態を、法律関係として尊重する制度よ。
権利の上に眠る者は保護されない、なんて言われ方もするわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

ただ、時効は完成しただけでは足りず、当事者が時効の援用をして初めて裁判上考慮されますよね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
援用は『時効の利益を受ける』という意思表示。
援用できる者は、当事者だけでなく、保証人・物上保証人・第三取得者など、時効によって直接利益を受ける者に及ぶわ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

逆に、時効の利益は要らない、って言うこともできるの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

できるわ。
それが時効利益の放棄。
ただし、時効完成前にあらかじめ放棄することはできないの。
債権者が優位な立場で放棄を強いるのを防ぐためよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

時効完成を知らずに債務を承認した場合はどうなりますか?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

判例は、完成を知らずに承認した債務者は、その後に時効を援用することは信義則上許されない、としているわ。
放棄とは別の理屈だけれど、結論は援用できない、ね。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

うぅ〜ん、途中で時効の進行が止まることもあるのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

改正で整理されたのが完成猶予と更新よ。
完成猶予は、一定事由がある間は時効が完成しない(時計が一時停止)。
更新は、一定事由でそれまでの進行がリセットされ、新たにゼロから進行する(時計が振り出しに戻る)の。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

たとえば裁判上の請求は、その間は完成猶予、確定判決等で権利が確定すれば更新、という流れですね。
承認は更新事由です。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

よく整理できているわ。
催告は6か月の完成猶予にとどまり、それだけでは更新にならない点も要注意よ。

確認クイズ

時効の総論に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 時効は、当事者が援用しなくても、完成すれば裁判所が当然にこれを考慮しなければならない
  2. 時効の利益は、時効の完成前にあらかじめ放棄することができる
  3. 時効の更新があると、それまで経過した期間はリセットされ、新たにゼロから時効期間が進行する
  4. 催告は、それだけで時効の更新事由となる
こたえを見る

正解: 3. 時効の更新があると、それまで経過した期間はリセットされ、新たにゼロから時効期間が進行する

選択肢3が正しい。更新は進行中の期間をリセットし新たに進行させる。選択肢1は誤り。時効は当事者の援用が必要。選択肢2は誤り。時効利益の放棄は完成前にはできない。選択肢4は誤り。催告は6か月間の完成猶予にとどまり、それだけでは更新の効果を生じない。

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