意思表示③ 詐欺・強迫 - 第三者保護の差と到達主義

だまされた・おどされた契約の取消し。詐欺と強迫で異なる第三者保護、第三者による詐欺、到達主義を整理。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

だまされた・おどされて結んだ契約は取り消せます。ただし、詐欺と強迫では第三者の保護の厚さが違います。この差が択一で問われます。あわせて意思表示の効力発生時期も確認します。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

先生、だまされて契約したのと、おどされて契約したの、どっちも取り消せるんだよね?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ええ、どちらも取り消せるわ(96条1項)。
でもね、詐欺と強迫では、まわりの第三者をどこまで守るかが違うの。
ここが最大のヤマよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができません。
一方、強迫による取消しは、善意無過失の第三者にも対抗できます。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

うぅ〜ん、なんで強迫のほうが強く守られるのぉ?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

いい疑問ね、ましろちゃん。
だまされた人は『うかつだった』面が少しある。
でもおどされた人には落ち度がない。
だから強迫の被害者はより厚く保護されるの。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

第三者がだました場合はどうなるの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

それが第三者による詐欺。
相手方以外の第三者にだまされたときは、相手方がその事実を知り、または知ることができたとき(悪意・有過失)に限って取り消せるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

強迫の場合はこの制限がなく、第三者による強迫でも常に取り消せますね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
ここでも強迫のほうが被害者に有利になっているの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

ところで先生、契約の申込みって、いつ相手に効くのぉ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

それが到達主義よ。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるの(97条1項)。
改正で、相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべき時に到達したとみなされる規定も加わったわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

表意者が発信後に死亡・意思能力喪失・行為能力の制限を受けても、意思表示の効力は原則として妨げられない、という点も押さえておきます。

確認クイズ

詐欺・強迫に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 強迫による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗することができない
  2. 第三者による詐欺の場合、相手方が善意無過失であっても取り消すことができる
  3. 詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない
  4. 意思表示は、表意者が通知を発した時に効力を生じるのが原則である
こたえを見る

正解: 3. 詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない

選択肢3が正しい(民法96条3項)。選択肢1は誤り。強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる。選択肢2は誤り。第三者による詐欺は、相手方が悪意・有過失のときに限り取り消せる。選択肢4は誤り。意思表示は到達時に効力を生じる(到達主義・97条1項)。

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