「勘違いして契約してしまった」。この錯誤を定める95条は、2020年施行の改正で大きく整理されました。旧法では無効でしたが、現行法では取消しです。要件を正確に押さえましょう。
先生、錯誤は改正で効果が変わったと聞きました。
今は無効ではなく取消し、という理解で合っていますか?
そのとおりよ、つむぎさん。
現行の95条は、一定の錯誤があった意思表示は『取り消すことができる』と定めているの。
旧法の『無効』から変わった重要ポイントね。
錯誤って、どんな勘違いでもいいの?
いいえ。
2つの型があるわ。
1つは表示の錯誤。
言い間違い・書き間違いのように、意思と表示がずれる型ね。
もう1つが動機の錯誤。
『この土地は将来値上がりする』と思って買ったのに、という動機部分の勘違い。
これは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、取消しができるの。
さらに、その錯誤が『法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なもの』でなければなりませんね。
うぅ〜ん、じゃあ自分がうっかりしすぎてた場合はどうなるのぉ?
鋭いわね、ましろちゃん。
表意者に重過失があるときは、原則として取消しを主張できないの。
うっかりが過ぎる人まで守る必要はない、という趣旨よ。
でも、相手も同じ勘違いをしてたら?
その場合は例外。
相手方が表意者の錯誤を知り・重過失で知らなかったとき、または相手方も同一の錯誤に陥っていたときは、重過失があっても取消しができるわ。
そして錯誤取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない、という保護規定も置かれました。
…改正で、だいぶ細かくルールが決まったんだね。
確認クイズ
錯誤に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 現行民法において、錯誤による意思表示は無効である
- 動機の錯誤は、動機が表示されていたか否かにかかわらず、常に取消しの対象となる
- 表意者に重大な過失があっても、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合には取消しができる
- 錯誤による取消しは、善意無過失の第三者に対しても常に対抗することができる
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正解: 3. 表意者に重大な過失があっても、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合には取消しができる
選択肢3が正しい。共通錯誤の場合は重過失があっても取消しできる(95条3項)。選択肢1は誤り。現行法の効果は取消し。選択肢2は誤り。動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた場合に限られる。選択肢4は誤り。錯誤取消しは善意無過失の第三者に対抗できない。