職業を選ぶ自由と財産をもつ自由――経済的自由権です。精神的自由に比べ、社会全体の調整のためにより広い制約が許されると考えられています。距離制限や共有林の判例で理解を深めます。
どんな仕事に就くかは自分で決めたいよね。
それも憲法の権利?
22条の職業選択の自由ね。
どんな職業を選ぶかは自分で決められる。
ただし、経済活動は社会全体に影響するから、精神的自由より広い規制が許されると考えられているの。
薬局の開設に距離の制限をかけた薬事法距離制限が、違憲とされた判例がありますよね。
そのとおり。
判例は、その距離制限は国民の生命や健康を守る目的との関係で、規制が必要な合理的範囲を超えているとして違憲としたの。
規制の目的と手段のバランスが問われたのよ。
うぅ〜ん、財産をもつ自由っていうのも、別にあるのぉ?
あるわ。
29条の財産権よ。
ただ財産権も、公共の福祉のために法律で内容を定められる。
無制限に守られるわけではないの。
その財産権が問題になったのが森林法共有林事件ですよね。
共有林の分割を制限する規定が違憲とされた、と記憶しています。
ええ。
共有物の分割請求を制限する規定について、その目的との関係で合理性を欠くとして違憲とされたわ。
もし国のために私の土地が使われちゃったら? タダ取りはさすがにヒドくない?
だいじょうぶ。
29条3項が、私有財産を公共のために用いる場合には正当な補償が必要だと定めているの。
ちゃんと埋め合わせが求められるのよ。
選ぶ自由も、もつ自由も守られる。
でも、社会のために少しだけ譲る場面もあるんだね。
確認クイズ
経済的自由権に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 職業選択の自由は精神的自由と全く同程度に扱われ、経済的な規制は一切許されない
- 薬事法の薬局開設距離制限は、判例により合憲とされ現在も維持されている
- 私有財産を公共のために用いる場合には、正当な補償が必要である
- 財産権は絶対的な権利であり、法律によってその内容を定めることはできない
こたえを見る
正解: 3. 私有財産を公共のために用いる場合には、正当な補償が必要である
選択肢3が正しい。29条3項は公共のために私有財産を用いる場合の正当な補償を定める。選択肢1は誤りで、経済的自由には精神的自由より広い規制が許されうる。選択肢2は誤りで、薬事法距離制限は違憲とされた。選択肢4も誤りで、財産権の内容は法律で定めうる。