人権は無制限ではありません。他者の人権とぶつかるとき、どこまで制約できるのか。そして、憲法は国だけでなく私人どうしの関係にも及ぶのか。公共の福祉と私人間効力を学びます。
人権は大事っていうけどさ、何でもかんでも自由にやっていいわけじゃないよね?
そのとおり。
人権も、他人の人権との衝突を調整するために制約を受けることがあるの。
その調整原理が公共の福祉よ。
つまり公共の福祉は、人権を安易に押さえつける口実ではなく、人権どうしの矛盾衝突を調整するための原理だという理解で合っていますか?
ええ、まさにそう。
国家が都合よく制限するための魔法の言葉ではない、という点が大事なのよ。
でも先生……憲法って、国に守らせるものなんだよね? じゃあ、会社と社員みたいな私人どうしには関係ないのぉ?
核心をついたわね。
もともと憲法は対国家のもの。
でも私人どうしでも大きな力の差が生じることがある。
そこで問題になるのが私人間効力よ。
判例は、憲法の規定を私人間にそのまま適用するのではなく、民法の一般条項などを通じて間接適用する立場だと学びました。
そのとおり。三菱樹脂事件で、判例は間接適用の考え方を示したの。
私人間の争いには、公序良俗を定める民法90条などを介して憲法の趣旨を及ぼす、という筋道ね。
直接ドーンじゃなくて、民法をワンクッションはさむってこと? なんか、審判を通してルール適用するみたいだ。
うまい言い換えね。
私人間には民法という審判を通して憲法の価値が届く、というイメージでいいわ。
えへへ、憲法が直接じゃなくて、そっと後ろから支えてるんだね。
確認クイズ
人権の限界と私人間効力に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 公共の福祉とは、国家が人権を制限するために自由に用いることができる原理である
- 判例は、憲法の人権規定を私人間の関係にも直接適用するとしている
- 判例は、私人間の関係には民法の一般条項を通じて憲法の趣旨を及ぼす立場をとる
- 私人間の関係には、憲法の趣旨がいかなる形でも及ぶ余地はない
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正解: 3. 判例は、私人間の関係には民法の一般条項を通じて憲法の趣旨を及ぼす立場をとる
選択肢3が正しい。判例は間接適用説をとり、民法90条などを介して憲法の趣旨を私人間に及ぼす(三菱樹脂事件)。選択肢1は誤りで、公共の福祉は人権相互の調整原理である。選択肢2は誤りで、直接適用ではなく間接適用が判例の立場である。選択肢4も誤りで、間接的には憲法の趣旨が及ぶ。