諸法令の中心が行政書士法です。まずは行政書士の使命、業務の範囲、他士業との業際、依頼に応ずる義務を押さえます。自分たちの仕事の根拠となる法律です。
行政書士法って、あたしたちが目指す資格そのものの法律だよね。
まず何を決めてるの?
最初の1条からね。行政書士法の1条は、2026年1月1日施行の改正で、法律の『目的』から『行政書士の使命』に変わったの。
行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とする、という定めよ。
先生、業務の範囲は、官公署に提出する書類の作成と、権利義務または事実証明に関する書類の作成が二本柱、という整理でよいでしょうか。
その整理でいいわ、つむぎ。
他人の依頼を受け報酬を得て、官公署提出書類や権利義務・事実証明の書類を作成する。
これが基本業務なの。
書類作成だけでなく、提出手続の代理や相談も業務に含まれるわ。
でも、なんでも書類なら作っていいわけじゃないんだよね?
鋭いわ、ましろ。
ここが業際の問題。
他の法律で他士業の独占とされている書類は作れないの。
たとえば訴訟は弁護士、登記は司法書士、税務書類は税理士、労働社会保険は社会保険労務士の領域よ。
じゃあ行政書士がやっていいのは、それ以外の官公署への書類ってこと?
そういう整理ね。
許認可申請の書類などが典型よ。
しかもこの業務は原則として行政書士の独占業務。
資格のない人が業として行うと処罰の対象になるの。
依頼に応ずる義務も重要ですね。
行政書士は、正当な事由がなければ依頼を拒むことができない。
そういうこと、つむぎ。依頼に応ずる義務は行政書士法11条に定められているの。
専門職としての公共的な責任の表れね。
困っている人を、理由もなく断っちゃいけないんだね。
責任のあるお仕事だなぁ。
確認クイズ
行政書士の業務に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 行政書士は、他人の依頼を受けて報酬を得れば、税務代理や訴訟代理も当然に行うことができる
- 行政書士は、正当な事由の有無にかかわらず、依頼を自由に拒むことができる
- 行政書士は、正当な事由がなければ依頼を拒むことができず、また官公署提出書類の作成は原則として独占業務である
- 行政書士の業務は書類作成のみに限られ、提出手続の代理や相談は業務に含まれない
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正解: 3. 行政書士は、正当な事由がなければ依頼を拒むことができず、また官公署提出書類の作成は原則として独占業務である
選択肢3が正しい。行政書士には依頼に応ずる義務があり、官公署提出書類の作成は原則独占業務。選択肢1は誤りで、税務は税理士、訴訟は弁護士の独占業務。選択肢2も誤りで、正当な事由がなければ拒めない。選択肢4も誤りで、提出手続の代理や相談も業務に含まれる。
2026年1月の改正で変わった所:職責・特定行政書士・無資格者への罰則
先生、行政書士法は2026年1月1日に改正法が施行されましたね。
2026年度の試験は、2026年4月1日現在の法令から出題されるので、改正後の条文が範囲になります。
そのとおりよ、つむぎ。
1条が『行政書士の使命』になったのに続いて、1条の2に職責が新しく置かれたの。
行政書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令と実務に精通して、公正かつ誠実に業務を行わなければならない。
さらに、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用などを通じて、国民の利便の向上と業務の改善進歩を図るよう努めなければならない、という定めよ。
条文が増えたってことは、番号もずれたの?
ええ。
書類作成の業務を定める条文は1条の3に、提出手続の代理や相談などを定める条文は1条の4に、ひとつずつ繰り下がったわ。
古い教材の『1条の2・1条の3』は、今の『1条の3・1条の4』のことよ。
特定行政書士さんのお仕事も、変わったって聞いたよ。
広がったの、ましろ。
特定行政書士は、所定の研修を修了して、許認可等に関する審査請求などの不服申立ての手続を代理できる行政書士ね。
前は、行政書士が『作成した』書類に係る許認可等に限られていたけれど、改正で、行政書士が『作成することができる』書類に係る許認可等に広がったわ。
だから、申請者本人が自分で申請した場合の不服申立ても、特定行政書士に頼めるようになったのよ。
資格のない人への規制も、条文がはっきりしたのですよね。
19条1項に『他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て』という言葉が加わったの。
手数料やコンサルタント料など、どんな名目でも、対価を受け取って業として書類を作れば違反になる、という趣旨を明確にしたのね。
違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金よ。
会社ぐるみでやってたら、会社のほうは?
そこが両罰規定。
従業者などが、その法人や人の業務に関して、業務の制限違反や名称の使用制限違反などをしたときは、行為者を罰するほか、その法人や人にも罰金刑を科すの(23条の3)。
使命があって、職責があって、ルールを破ると罰もある。
ちゃんとつながってるんだね。
確認クイズ
2026年1月1日施行の改正後の行政書士法に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 特定行政書士が代理できる不服申立ては、行政書士が実際に作成した書類に係る許認可等に関するものに限られる
- 行政書士法1条は行政書士の使命を定め、1条の2は品位の保持などの職責を定めている
- 行政書士でない者でも、手数料という名目で対価を受けるのであれば、業として官公署に提出する書類を作成することができる
- 行政書士でない者が業務の制限に違反した場合、罰せられるのは行為者だけで、その法人に罰金刑が科されることはない
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正解: 2. 行政書士法1条は行政書士の使命を定め、1条の2は品位の保持などの職責を定めている
選択肢2が正しい。改正で1条は「行政書士の使命」となり、1条の2に職責が新設された。選択肢1は誤りで、改正後は行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等に広がった(1条の4第1項2号)。選択肢3も誤りで、19条1項は「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」業として行うことを禁じている。選択肢4も誤りで、両罰規定(23条の3)により、行為者のほか法人等にも罰金刑が科される。