ここから行政手続法に入ります。条文数は少ないのに出題は多い、コストパフォーマンス抜群の分野です。まずは目的規定と用語の定義、そして適用除外。特に地方公共団体への適用関係は、毎年のように狙われます。
先生、質問があります。
行政手続法の目的は何でしょうか。
条文の言葉で押さえておきたいです。
1条ね。
処分、行政指導、届出に関する手続と、命令等を定める手続について共通する事項を定めて、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資すること。
これが目的よ。
よっしゃ、公正と透明性と、あと迅速性だね!
そこが罠。
迅速性は入っていないの。
「公正の確保」と「透明性の向上」の2つだけ。
選択肢に「迅速性」が紛れ込んでいたら、それは誤りよ。
えーっ! なんで? 早くしてほしいのに…。
標準処理期間の規定はありますが、法の目的そのものには掲げられていない、ということですね。
ちなみに透明性は、行政上の意思決定の内容及び過程が国民にとって明らかであることと定義されています。
そこまで押さえていれば十分ね。
次に2条の定義。
特に大事なのが申請と不利益処分よ。
申請とは、許認可等を求める行為であって、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいうの。
応答義務がない単なる要望は、申請にあたらないわ。
うぅ〜ん…お返事する義務があるかどうかで決まるのぉ?
そのとおり。
そして不利益処分は、行政庁が法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に義務を課し、または権利を制限する処分のこと。
ここで注意すべきなのが、申請を拒否する処分の扱いですね。
ええ。申請拒否処分は、条文上、不利益処分から明文で除外されているの。
だから聴聞や弁明の機会は要らない。
その代わり、申請に対する処分の章で理由の提示が求められるわ。
ここは混同しやすいから気をつけて。
許可がもらえないって、めちゃくちゃ不利益じゃん?
感覚としてはそうよね。
でも条文上の整理は別。
行政手続法は、法律の言葉づかいを正確に追う科目だと思ってちょうだい。
では適用除外を確認させてください。
特に地方公共団体との関係が気になります。
3条3項が急所ね。
地方公共団体の機関がする処分のうち、その根拠が条例または規則に置かれているもの。
地方公共団体の機関がする行政指導。
条例・規則に根拠を置く届出。
そして地方公共団体の機関が命令等を定める行為。
これらには行政手続法は適用されないわ。
ってことは、逆に…法律に根拠がある処分なら、市役所の処分でも行政手続法が使えるってこと?
そこを一発で見抜けたのは立派よ。
そのとおり。
処分と届出は「根拠が条例・規則かどうか」で切り分ける。
でも行政指導は、根拠が何であれ全部適用除外。
この非対称が最大の出題ポイントよ。
適用が除外される部分については、地方公共団体が自ら必要な措置を講ずるよう努める、という努力義務の規定が置かれていますね。
確認クイズ
行政手続法の適用に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 地方公共団体の機関がする行政指導であっても、その根拠となる規定が法律に置かれている場合には、行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。
- 地方公共団体の機関がする処分であっても、その根拠となる規定が法律に置かれているものについては、行政手続法の処分に関する規定が適用される。
- 行政手続法は、その目的として、行政運営における公正の確保および透明性の向上に加え、迅速性の確保を掲げている。
- 申請により求められた許認可等を拒否する処分は、行政手続法上の不利益処分にあたるため、聴聞または弁明の機会の付与が必要となる。
こたえを見る
正解: 2. 地方公共団体の機関がする処分であっても、その根拠となる規定が法律に置かれているものについては、行政手続法の処分に関する規定が適用される。
選択肢2が正しい。3条3項により適用除外となるのは、地方公共団体の機関がする処分のうち根拠規定が条例または規則に置かれているものであり、根拠が法律に置かれている処分には行政手続法が適用される。選択肢1は誤り。地方公共団体の機関がする行政指導は、根拠規定が法律にあるか条例・規則にあるかを問わず、すべて適用除外である。選択肢3は誤り。1条が掲げる目的は公正の確保と透明性の向上であり、迅速性は含まれていない。選択肢4は誤り。申請拒否処分は不利益処分の定義から明文で除外されており、聴聞・弁明の機会の付与は必要でない。もっとも、理由の提示は必要となる。