行政法の中心概念が行政行為です。条文上は「処分」と呼ばれます。ここで学ぶ分類は、後の行政事件訴訟法まで効いてくる骨格です。許可・認可・特許の区別は、毎年のように問われる最頻出テーマです。
先生、質問があります。
行政行為の定義を正確に押さえておきたいのですが。
ええ。行政行為とは、行政庁が法律に基づき、公権力の行使として、国民に対し具体的に権利義務を形成し、またはその範囲を確定する行為をいうわ。
むずかしい…でも「具体的に」ってところが引っかかるな。
いいところに目が留まったわね。
一般的・抽象的なルールを作る行政立法とは、そこで区別されるの。
行政行為は、特定の人に、具体的な効果を及ぼすものよ。
むむむ…それで、その行政行為が、また細かく分かれるんだよね?
そう。
まず法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為。
前者は、行政庁が「こうしたい」という意思(効果意思)に基づいて行うもの。
後者は、意思ではなく、判断や認識をそのまま表示するだけのものよ。
法律行為的行政行為は、さらに命令的行為と形成的行為に分かれますね。
命令的行為は、国民が本来持っている自由を制限したり、それを回復させたりするもの。
下命・禁止・許可・免除がこれにあたるわ。
形成的行為は、国民が本来持っていない特別な地位や権利を与えるもの。特許・認可・代理がこちらね。
あたしわかった気がする! 許可は「もともとやっていいことを解禁」で、特許は「もともとできないことを新しくくれる」ってこと?
見事な整理よ。
運転免許、飲食店の営業許可、医師免許はすべて許可。
公有水面の埋立免許や道路の占用許可は、名前は許可でも中身は特許なの。
名称に惑わされるな、ということですね。
では認可は。
認可は、私人どうしの法律行為を補充して、法律上の効力を完成させるもの。
農地の権利移転の許可や、公共料金の認可が典型例。
認可を欠く行為は効力を生じないわ。
許可がないのにお店を開いたら、罰は受けるけど、売った契約は有効…?
そこを直感で当てるのがましろさんらしいわね。
そのとおり。
無許可営業は処罰されるけれど、売買契約自体は私法上有効。
ここが認可との決定的な違いよ。
準法律行為的行政行為は、確認・公証・通知・受理の4つですね。
当選人の決定や建築確認が確認、選挙人名簿への登録や運転免許証の交付が公証、納税の督促や代執行の戒告が通知。
完璧ね。
そして、準法律行為的行政行為には行政庁の効果意思がないから、附款を付けることができない。
ここも狙われるわ。
確認クイズ
行政行為の分類に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 農地法上の農地の権利移転についての許可は、当事者間の契約の効力を補充してこれを完成させるものであり、講学上の認可にあたる。
- 自動車の運転免許は、国民が本来有していない権利を新たに設定するものであり、講学上の特許にあたる。
- 建築基準法に基づく建築確認は、行政庁の効果意思に基づいて権利を設定するものであり、講学上の公証にあたる。
- 準法律行為的行政行為には、行政庁の効果意思に基づき、条件や期限などの附款を自由に付すことができる。
こたえを見る
正解: 1. 農地法上の農地の権利移転についての許可は、当事者間の契約の効力を補充してこれを完成させるものであり、講学上の認可にあたる。
選択肢1が正しい。農地の権利移転の許可は、名称は「許可」だが、私人間の契約の効力を補充して完成させるものであり、講学上は認可にあたる。認可を欠く権利移転は法律上の効力を生じない。選択肢2は誤り。運転免許は、一般的に禁止されている行為を特定の者について解除するものであり、講学上の許可である。選択肢3は誤り。建築確認は、特定の事実や法律関係の存否を公権的に判断する行為であって、準法律行為的行政行為のうちの確認にあたる。公証は、選挙人名簿への登録や運転免許証の交付のように、特定の事実等を公に証明する行為である。選択肢4は誤り。準法律行為的行政行為には行政庁の効果意思が介在しないため、附款を付すことはできない。