許認可を申請したのに、いつまでも返事が来ない。基準もよく分からない。断られても理由すら教えてもらえない。こうした不透明さをなくすために置かれたのが、行政手続法第2章です。義務か努力義務か、その一語の違いで正誤が決まります。
先生、申請って出したら受け取ってもらえるのが当たり前じゃないの?
かつては窓口で「まだ出さないで」と返されることもあったの。
行政手続法はそこにメスを入れたのよ。
7条は、申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始しなければならないと定めているわ。
形式上の要件に適合しない申請であっても、速やかに補正を求めるか、拒否処分をするかしなければならない。
放置も返戻も許されないの。
つまり、行政手続法は「受理」という観念を否定した。
そういう理解で合っていますか?
そのとおり。
到達した時点で審査義務が生じるの。
次に基準の話をしましょう。
5条の審査基準。
行政庁はこれを定めなければならない。
しかも、許認可等の性質に照らして、できる限り具体的なものとしなければならないわ。
定めるのは義務なんだね。
公開もしてくれるの?
5条3項は、行政上特別の支障があるときを除き、公にしておかなければならないとしているわ。
原則として公表義務よ。
マジで!? じゃあ、どのくらいで返事が来るかも決まってるの?
そこが6条の標準処理期間。
ここは要注意よ。
定めること自体は「努めなければならない」、つまり努力義務なの。
ただし、定めた場合には公にしておかなければならない。
設定は努力義務、公表は義務。
この組み合わせですね。
そう、そこが引っかけの本丸。
審査基準は設定も公表も原則義務、標準処理期間は設定が努力義務で公表が義務。
表にして覚えて。
…もし断られたら、なぜダメだったのか教えてもらえるの?
8条ね。
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には、申請者に対し、同時にその処分の理由の提示をしなければならない。
処分を書面でするときは、理由も書面で示す必要があるわ。
例外はありますか。
要件や公にされた審査基準が数量的指標などの客観的指標で明確に定められていて、申請書の記載などから不適合が明らかなときは、申請者から求めがあったときに示せば足りるとされているわ。
理由の提示は、どの程度まで具体的である必要がありますか。
判例は、旅券の発給拒否について、根拠条項を示すだけでは足りず、いかなる事実関係に基づいて拒否したのかを申請者が理解できる程度に示すべきだとしているわ。
ほかにも条文あるんだよね?
9条は審査の進行状況などの情報の提供、10条は申請者以外の者の利害を考慮すべきことが法令上の要件とされている場合の公聴会の開催。
どちらも努力義務よ。
11条は複数の行政庁が関与する場合に、他の行政庁の判断を待つことを理由に審査を殊更に遅延させてはならないと定めているわ。
確認クイズ
行政手続法における申請に対する処分に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 行政庁は、標準処理期間を定めなければならず、これを定めた場合には、これを公にしておくよう努めなければならない。
- 行政庁は、審査基準を定めるにあたっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
- 行政庁は、申請が形式上の要件に適合しない場合には、これを受理せずに申請者に返戻することができる。
- 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合、申請者から求めがあったときに限り、その理由を示せば足りる。
こたえを見る
正解: 2. 行政庁は、審査基準を定めるにあたっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
選択肢2が正しい。5条2項は、審査基準を定めるにあたって、許認可等の性質に照らしできる限り具体的なものとしなければならないと定めている。選択肢1は誤り。標準処理期間は、定めること自体は努力義務であり、これを定めたときに公にしておくことが義務である。設定義務と公表努力義務という組み合わせは逆になっている。選択肢3は誤り。7条により、行政庁は形式上の要件に適合しない申請についても、速やかに補正を求めるか、または許認可等を拒否しなければならず、受理を拒んで返戻することはできない。選択肢4は誤り。申請拒否処分については、原則として処分と同時に理由を示さなければならない。求めがあったときに示せば足りるのは、要件や公にされた審査基準が客観的指標により明確に定められている等の例外的場合に限られる。