地方自治は、住民が議会と長をそれぞれ直接選ぶ二元代表制です。対等な二者が衝突したらどうなるか。不信任議決と解散、専決処分、再議という緊張関係のルールを、数字とともに押さえます。
国では内閣総理大臣を国会が指名しますが、地方では長も住民が直接選びますね。
二元代表制ね。
議会も長も、それぞれ住民から直接選ばれる。
任期はどちらも4年よ。
対等だからこそ、衝突したときのルールが細かく用意されているの。
議会は何ができるの?
条例の制定改廃、予算を定めること、決算の認定、契約の締結など、法定された議決事件を議決するわ。
さらに条例で議決事件を追加することもできるの。
検査権や、いわゆる百条調査権もあるわ。
百条調査権……なんだか強そう。
強いわよ。
当該団体の事務に関して調査を行い、選挙人その他の関係人に出頭・証言・記録の提出を求められる。
正当な理由なく拒めば刑罰の対象になるの。
長のほうは、議会の議決に不満があってもただ従うしかないのですか。
いいえ、再議という拒否権があるわ。
議決に異議があるときは、議決の日から10日以内に理由を示して再議に付すことができるの。
再議で議会がまた同じ結論を出したら?
条例の制定改廃または予算に関する議決なら、出席議員の3分の2以上の同意で再び同じ議決をしたとき、その議決が確定するの。
それ以外の議決は過半数で確定するわ。
3分の2……ハードルが上がるんだね。
そう。
もっと激しいのが不信任議決よ。
議会が長の不信任を議決したら、長は議長からの通知を受けた日から10日以内に議会を解散できるの。
うわ、真っ向勝負じゃん? 解散しなかったら?
10日以内に解散しないときは、長は失職するわ。
解散した場合も、解散後初めて招集された議会で再び不信任が議決され、議長から通知があれば、長はその職を失うの。
議決の要件が厳しかったと記憶しています。
よく覚えていたわね。
1回目の不信任議決は議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の同意。
解散後の2回目は議員数の3分の2以上が出席し、その過半数の同意よ。
2回目は少し緩むところが引っかけになるわ。
議会が開けないときは、長は何も決められないの?
専決処分があるわ。
議会が成立しないとき、議会を招集する暇がないと認めるとき、議会が議決すべき事件を議決しないときなどに、長が代わって処分できるの。
次の会議で議会に報告し、承認を求めなければならないわ。
承認が得られなかった場合、専決処分は効力を失うのですか。
そこが要注意。
条例の制定改廃または予算に関する専決処分について承認を求める議案が否決されても、処分の効力自体は失われないの。
長は必要と認める措置を講じ、議会に報告することになるわ。
確認クイズ
地方公共団体の議会と長の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 議会が長の不信任を議決した場合、長は議長から通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。
- 長は、議会の議決に異議があるときでも、これを再議に付すことはできない。
- 条例の制定に関する議決が再議に付された場合、出席議員の過半数の同意があれば、その議決は確定する。
- 条例に関する専決処分について議会の承認が得られなかった場合、当該処分は遡って効力を失う。
こたえを見る
正解: 1. 議会が長の不信任を議決した場合、長は議長から通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。
選択肢1が正しい。議会が長の不信任を議決し議長から通知があったときは、長は通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができ、解散しないときはその職を失う。選択肢2は誤り。長は議決の日から10日以内に理由を示して再議に付すことができる(一般的拒否権)。選択肢3は誤り。条例の制定改廃または予算に関する議決については、出席議員の3分の2以上の同意が必要である。選択肢4は誤り。承認が得られなくても専決処分の効力自体は失われない。