行政法の最後は地方自治法。まずは土台から。地方公共団体にはどんな種類があり、どんな事務を処理し、どこまで自前のルールを作れるのか。条例制定権の限界は憲法とも重なる重要論点です。
地方公共団体って、要は都道府県と市町村のこと?
それが普通地方公共団体ね。
もうひとつ特別地方公共団体があるわ。
特別区、地方公共団体の組合、財産区の3つよ。
特別区とは、東京23区のことですね。
そう。
市に準ずる扱いを受けるけれど、法律上は特別地方公共団体に分類されるの。
ここは択一で狙われやすいわ。
自治体のお仕事にも、種類があるの?
あるわ。自治事務と法定受託事務の2つ。
かつての機関委任事務は、地方分権改革で廃止されたのよ。
どう違うの?
法定受託事務は、法律や政令によって自治体が処理することとされる事務のうち、本来は国が果たすべき役割に係るもので、国が適正な処理を特に確保する必要があるもの。
自治事務は、それ以外のもの——つまり引き算で決まるの。
法定受託事務は「国の仕事を預かっている」ようにも見えますが、それでも地方公共団体の事務なのですよね。
そこが重要よ、つむぎさん。
法定受託事務も地方公共団体の事務。
だから条例制定権も及ぶし、議会の検査や住民監査請求の対象にもなるわ。
条例って、どこまで作れるの? なんでもアリ?
条例は、法令に違反しない限りにおいて、その事務に関して制定できるわ。
住民に義務を課し、権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除き、条例によらなければならないの。
条例を破ったら、罰があるのぉ?
設けられるわ。
条例には、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収の刑、または5万円以下の過料を科する旨の規定を置けるの。
上限の数字はそのまま出題されるから覚えてね。
拘禁刑は、2025年6月1日に、それまでの懲役と禁錮を一本化して新しくできた刑よ。
長が定める規則はどうですか。
長の規則には、5万円以下の過料しか科せないの。
刑罰は置けないわ。
ここは条例との決定的な違いね。
国の法律と条例がぶつかったら? 法律が勝つに決まってるじゃん?
単純ではないのよ。徳島市公安条例事件で最高裁は、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するだけでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較し、矛盾抵触があるかどうかで決すべきだとしたの。
だから、法律より厳しい規制を上乗せする条例が許される場合もあるわ。
確認クイズ
地方公共団体の事務および条例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法定受託事務は国の事務であるから、条例を制定することはできない。
- 普通地方公共団体の長が定める規則には、2年以下の拘禁刑を科する旨の規定を設けることができる。
- 特別区は、普通地方公共団体に分類される。
- 条例には、法令に特別の定めがあるものを除くほか、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
こたえを見る
正解: 4. 条例には、法令に特別の定めがあるものを除くほか、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
選択肢4が正しい。条例には、刑罰のほか5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。選択肢1は誤り。法定受託事務も地方公共団体の事務であり、条例制定権が及ぶ。選択肢2は誤り。長の規則に設けられる制裁は5万円以下の過料のみで、刑罰を科すことはできない。選択肢3は誤り。特別区は特別地方公共団体である。