出訴期間を過ぎてしまった、まだ処分がされない、これからされそうで怖い。取消訴訟では届かない場面をカバーするのが、残り4つの抗告訴訟と仮の救済です。要件の違いを整理しましょう。
6か月過ぎちゃったら、もう何もできないの?
手が残っているわ。無効等確認訴訟よ。
処分に重大かつ明白な瑕疵があって無効なら、そもそも初めから効力がないのだから、出訴期間の制限も審査請求前置もないの。
ただし要件が厳しいと聞きます。
ええ。
処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者などで、現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない者に限られるの。
補充性の要件ね。
役所が何もしてくれないときは、どうするのぉ?
不作為の違法確認訴訟。
法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分をすべきなのにしないことの違法確認を求めるものよ。
提起できるのは申請をした者に限られるわ。
違法だって確認してもらったら、許可はもらえるの?
残念だけど、もらえないの。
「何らかの処分をせよ」という意味しかないから、拒否処分をされて終わり、ということもあり得るわ。
えーっ! それじゃ振り出しじゃん?
そこで義務付け訴訟よ。
平成16年改正で法定されたわ。
2つの型があるの。
申請型と非申請型ですね。
そう。
申請をしていない第三者が「規制権限を使え」と求めるのが非申請型。
こちらは要件が重くて、処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ他に適当な方法がないことが必要よ。
工場の排水を止めてほしい近所の人……みたいな場面かな。
まさにそういう場面ね。
一方、自分が申請をした者が「許可を出せ」と求めるのが申請型。
こちらには重大な損害の要件はないけれど、代わりに併合提起が必要なの。
放置されているなら不作為の違法確認訴訟を、拒否されたなら取消訴訟または無効等確認訴訟を、一緒に提起しなければならないわ。
これからされそうな処分を止めたい場合は、差止訴訟ですね。
差止訴訟ね。
一定の処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に提起できる。
ただし、損害を避けるため他に適当な方法があるときは提起できないわ。
でも、裁判が終わる前に処分されちゃったら?
仮の救済があるわ。仮の義務付けと仮の差止め。
どちらも償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえるときに認められるの。
執行停止の「重大な損害」より重い要件よ。
しかも内閣総理大臣の異議の規定が準用されるわ。
確認クイズ
取消訴訟以外の抗告訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 無効等確認の訴えには、取消訴訟と同様の出訴期間の制限がある。
- 不作為の違法確認の訴えは、申請をしていない第三者も提起することができる。
- 申請型の義務付けの訴えは、不作為の違法確認の訴えまたは取消訴訟等を併合して提起しなければならない。
- 仮の義務付けは、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときに認められる。
こたえを見る
正解: 3. 申請型の義務付けの訴えは、不作為の違法確認の訴えまたは取消訴訟等を併合して提起しなければならない。
選択肢3が正しい。申請型の義務付けの訴えは、不作為型であれば不作為の違法確認の訴えを、拒否処分型であれば取消訴訟または無効等確認の訴えを併合提起しなければならない。選択肢1は誤り。無効等確認の訴えに出訴期間の制限はない。選択肢2は誤り。不作為の違法確認の訴えを提起できるのは、法令に基づく申請をした者に限られる。選択肢4は誤り。仮の義務付けの要件は償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があることであり、執行停止の「重大な損害」より重い。