誰を訴えるのか、いつまでに、どこの裁判所に。取消訴訟の残りの訴訟要件を、数字とセットで固めます。行政不服審査法の3か月・1年との対比も忘れずに。
処分をしたのは税務署長さん。
じゃあ、訴える相手も税務署長?
平成16年改正前ならそうだったの。
でも今は被告適格のルールが変わって、処分をした行政庁が所属する国または公共団体を被告とするのよ。
行政庁主義から行政主体主義へ、ね。
国税に関する処分であれば、被告は国。
市長の処分であれば、被告は市。
そういうことですね。
そのとおり。
ただし、処分をした行政庁が国にも公共団体にも所属しない場合——たとえば指定確認検査機関のような民間機関が処分をした場合——は、その行政庁自身が被告になるわ。
被告を間違えちゃったら、もうおしまいなのぉ?
救済があるわ。
原告の故意または重大な過失によらないで被告を誤ったときは、裁判所は原告の申立てにより、決定で被告の変更を許すことができるの。
それから訴状には、被告のほかに処分をした行政庁も記載することになっているわ。
で、期限は?
出訴期間ね。
処分または裁決があったことを知った日から6か月。
そして、処分または裁決の日から1年。
どちらも正当な理由があるときは例外があるわ。
行政不服審査法は「知った日の翌日から起算して3か月」でした。
数字も起算点の書きぶりも違います。
うぅ、また混ざりそう……。
3か月が行政、6か月が裁判所、っと。
1年のほうは、どっちも1年なんだね。
そこだけは仲良し。
ましろさん、覚え方が可愛いわね。
審査請求をしてから訴える場合は、裁決があったことを知った日から6か月、裁決の日から1年になるわ。
管轄はどうなりますか。
行政訴訟は東京でしか起こせない、という話を聞いたことがありますが。
それも改正で緩和されたの。
原則は被告の普通裁判籍の所在地、または処分・裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所。
加えて、国などを被告とする場合は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所——特定管轄裁判所——にも提起できるわ。
第一審は地方裁判所よ。
地元の近くで戦えるってこと? よっしゃ、それなら現実的だ!
最後に教示。
行政庁は、取消訴訟を提起できる処分を書面でするときは、①被告とすべき者、②出訴期間、③審査請求前置の定めがあるときはその旨を書面で教示しなければならないの。
ただし、行政不服審査法と違って、教示をしなかった場合の救済規定は置かれていないわ。
確認クイズ
取消訴訟の訴訟要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から3か月を経過したときは、原則として提起することができない。
- 処分をした行政庁が国に所属する場合、取消訴訟の被告は当該行政庁自身である。
- 取消訴訟は、処分または裁決の日から1年を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、提起することができない。
- 行政事件訴訟法には、行政庁が教示をしなかった場合の救済規定が置かれている。
こたえを見る
正解: 3. 取消訴訟は、処分または裁決の日から1年を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、提起することができない。
選択肢3が正しい。取消訴訟は、処分または裁決の日から1年を経過したときは、正当な理由がある場合を除き提起できない(行政事件訴訟法14条2項)。選択肢1は誤り。知った日から6か月である(3か月は行政不服審査法の審査請求期間)。選択肢2は誤り。処分庁が国に所属する場合、被告は当該行政庁ではなく国である。選択肢4は誤り。教示欠如の救済規定は行政不服審査法にはあるが、行政事件訴訟法には置かれていない。