「不服があるなら、どこに、いつまでに申し立てられるのか」。それを国民に知らせるのが教示制度です。教示しなかったとき、誤って教示したときの救済まで、条文どおりに追いかけます。
処分の通知書が届いても、どこに文句を言えばいいのか分からないよ……ましろ、絶対に迷子になるもの。
だから教示制度があるの。
行政庁は、不服申立てをすることができる処分を書面でするときは、処分の相手方に対して3つのことを書面で教えなければならないわ。
3つ、というと。
①不服申立てをすることができる旨、②不服申立てをすべき行政庁、③不服申立てをすることができる期間。
この3点よ。
口で「処分します」って言われたときは?
処分を口頭でする場合には教示は不要よ。
ここは条文のただし書きね。
処分の相手方以外の利害関係人は、教示を受けられないのですか。
受けられるわ。
利害関係人から教示を求められたときは、行政庁は教示しなければならない。
書面での教示を求められたときは、書面で行う必要があるの。
もし役所が教示を忘れてたら? やられ損じゃん?
そこも手当てされているわ。教示をしなかった場合、処分に不服がある者は、処分庁に不服申立書を提出できるの。
審査請求をすべき行政庁が別にあるときは、処分庁が速やかにその行政庁へ送付し、その旨を申立人に通知する。
送付されたときは、初めから審査庁に審査請求がされたものとみなされるのよ。
遡ってくれるんだ……。
役所のミスで期限切れ、にはならないんだね。
そう。
同じ発想が、誤った教示のときにも働くわ。
審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査庁として教示してしまい、その行政庁に書面で審査請求がされたとき、その行政庁は速やかに処分庁または審査庁となるべき行政庁へ審査請求書を送付し、審査請求人に通知しなければならないの。
その場合も、初めから正しい審査庁に審査請求がされたものとみなされる、ということですね。
国民に不利益を押し付けない設計です。
そのとおり。
ちなみに教示制度は行政事件訴訟法にもあって、取消訴訟を提起できる処分を書面でするときは、被告とすべき者・出訴期間・審査請求前置の定めの有無を教示することになっているわ。
つまり、行政も裁判所も道案内してくれるってこと?
ええ。
ただし行政事件訴訟法には、教示をしなかった場合の救済規定は置かれていないの。
ここは行審法との違いとして狙われるわ。
……道は教えてくれるけど、迷っても迎えには来てくれない、ってことなのぉ。
確認クイズ
行政不服審査法の教示制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政庁は、不服申立てをすることができる処分を口頭でする場合にも、必ず書面で教示しなければならない。
- 行政庁が教示をしなかった場合、処分に不服がある者は処分庁に不服申立書を提出することができる。
- 利害関係人から教示を求められても、処分の相手方でない以上、行政庁に教示義務は生じない。
- 誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を教示した場合、審査請求人は自ら正しい行政庁に出し直すほかない。
こたえを見る
正解: 2. 行政庁が教示をしなかった場合、処分に不服がある者は処分庁に不服申立書を提出することができる。
選択肢2が正しい。行政庁が教示をしなかった場合、処分に不服がある者は処分庁に不服申立書を提出することができ、審査庁となるべき行政庁へ送付されたときは、初めから審査請求がされたものとみなされる。選択肢1は誤り。処分を口頭でする場合には教示は要しない。選択肢3は誤り。利害関係人から教示を求められたときも行政庁は教示しなければならない。選択肢4は誤り。誤った教示の場合、教示された行政庁が正しい行政庁へ審査請求書を送付し、初めからそこに審査請求がされたものとみなされる。