ここからは裁判所を使った救済、行政事件訴訟法です。まず全体地図を頭に入れましょう。訴訟は大きく4つ、そのうち抗告訴訟は6類型。この骨組みが見えていないと、個別論点が迷子になります。
行政を裁判で訴える……なんか、いきなりハードル高そう。
順番に地図を描けば大丈夫。行政事件訴訟は4種類あるの。
抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟よ。
前の2つと後ろの2つでは、性格が違いますよね。
よく分かっているわね。
抗告訴訟と当事者訴訟は、自分の権利利益を守るための主観訴訟。
民衆訴訟と機関訴訟は、行政の適法性そのものを正すための客観訴訟。
客観訴訟は法律に定めがある場合に、法律に定める者だけが提起できるの。
自分のためじゃない裁判……そんなのがあるんだ。
選挙訴訟や住民訴訟がそれね。
自分が損をしていなくても、おかしなものはおかしいと言える仕組みよ。
で、メインはどれ?
圧倒的に抗告訴訟。
行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟で、法律が定める型は6つあるわ。
処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴え——の6つですね。
完璧ね。
前の2つをまとめて取消訴訟と呼ぶわ。
義務付けと差止めは、平成16年の改正で法定されたものよ。
取消しが2つあるのが気になる。
処分と裁決って、両方訴えられるの?
できるけれど制限があるの。原処分主義ね。
処分の取消訴訟と、その処分についての審査請求を棄却した裁決の取消訴訟の両方を提起できる場合、裁決の取消訴訟では処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
裁決固有の瑕疵だけを主張できるのよ。
処分の違法は処分の取消訴訟で、裁決の手続の違法は裁決の取消訴訟で。
役割分担ということですね。
当事者訴訟っていうのは、行政と対等に話し合う裁判なのかなぁ。
感覚としては近いわ。当事者訴訟には2つあって、法令の規定により法律関係の当事者の一方を被告とする形式的当事者訴訟——土地収用の損失補償額を争う訴えが典型ね——と、公法上の法律関係に関する確認の訴えなどの実質的当事者訴訟よ。
機関訴訟は? 名前からして、役所どうしのケンカ?
ええ。
国または公共団体の機関相互間の権限の存否や行使に関する紛争。
地方公共団体の長と議会の争いなどがこれに当たるわ。
確認クイズ
行政事件訴訟の類型に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 民衆訴訟および機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起することができる。
- 抗告訴訟として法律が定める類型は、処分の取消しの訴えと裁決の取消しの訴えの2つのみである。
- 裁決の取消しの訴えにおいては、原処分の違法を理由として取消しを求めることができる。
- 当事者訴訟は、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟であり、抗告訴訟の一種である。
こたえを見る
正解: 1. 民衆訴訟および機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起することができる。
選択肢1が妥当。民衆訴訟・機関訴訟は客観訴訟であり、法律に定める場合において法律に定める者に限り提起できる。選択肢2は誤り。法定抗告訴訟は、処分の取消し・裁決の取消し・無効等確認・不作為の違法確認・義務付け・差止めの6類型である。選択肢3は誤り。原処分主義により、裁決取消訴訟では裁決固有の瑕疵のみを主張でき、原処分の違法を理由に取消しを求めることはできない。選択肢4は誤り。公権力の行使に関する不服の訴訟は抗告訴訟であり、当事者訴訟はこれとは別の類型である。