行政不服審査法④ 執行停止と裁決 - 事情裁決・不利益変更の禁止

執行不停止の原則と執行停止の要件、行政不服審査会への諮問、そして却下・棄却・認容・事情裁決と裁決の拘束力までを押さえます。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

審査請求をしても処分の効力は止まりません。では、営業停止処分の効力を審理中だけでも止めるにはどうするか。執行停止の要件と、審理の締めくくりである裁決の種類・効力を確認します。

戸倉 ジャスミン(笑顔) 戸倉 ジャスミン

審査請求をしたら、その間は処分がストップするんだよね?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

残念だけど、しないの。執行不停止の原則。
審査請求は、処分の効力・処分の執行・手続の続行を妨げない、と定められているわ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

えーっ! 営業停止のまま3か月も待つの? お店つぶれちゃうよ!

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

だから執行停止の制度があるのよ。
処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁なら、申立てによっても、職権によっても執行停止ができるの。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

先生、上級行政庁でも処分庁でもない審査庁——たとえば第三者機関が審査庁のときは、どうなりますか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

その場合は制限がかかるわ。
審査請求人の申立てが必要で、職権ではできない。
しかも処分庁の意見を聴いたうえで、効力・執行・手続の続行の停止しかできず、それ以外の措置はとれないの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

「できる」だけ? 必ず止めてくれる場合はないのぉ?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

あるわ。
ましろさん、いい聞き方ね。
審査請求人の申立てがあり、処分等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は執行停止をしなければならない。
ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、または本案について理由がないとみえるときは別よ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

つまり、原則は裁量的、要件がそろえば義務的、という二段構えですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
さて審理が終わると、審理員意見書を受け取った審査庁は、原則として行政不服審査会等に諮問しなければならないわ。
審査請求人が諮問を希望しない旨を申し出ている場合や、審査請求を全部認容する場合などは例外ね。

戸倉 ジャスミン(笑顔) 戸倉 ジャスミン

で、最後の結論が裁決!

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。裁決は3種類。
要件を欠く不適法な審査請求は却下、理由がなければ棄却、理由があれば認容よ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

取消訴訟の事情判決に当たるものは、不服申立てにもあるのですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

あるわ。事情裁決ね。
処分が違法または不当ではあるけれど、取り消すと公の利益に著しい障害が生じ、取消しが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は棄却できるの。
ただし裁決の主文で、その処分が違法または不当であることを宣言しなければならないわ。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

審査請求したら、かえって重い処分にされちゃう……なんてことは?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ないから安心して。不利益変更の禁止があるの。
審査庁は審査請求人の不利益に処分を変更することはできないわ。
そして裁決には拘束力があり、関係行政庁を拘束する。
申請の拒否処分が取り消されれば、処分庁は改めて申請に対する処分をしなければならないの。

確認クイズ

行政不服審査法上の執行停止および裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 審査請求がされると、当然に処分の効力が停止される。
  2. 審査庁は、審査請求に理由があると認めるときは、審査請求人の不利益に処分を変更することもできる。
  3. 処分庁の上級行政庁である審査庁は、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をすることができる。
  4. 事情裁決をする場合、審査庁は処分が違法または不当であることを裁決の主文で宣言する必要はない。
こたえを見る

正解: 3. 処分庁の上級行政庁である審査庁は、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をすることができる。

選択肢3が正しい。処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁は、申立てによるほか職権でも執行停止をすることができる。選択肢1は誤り。審査請求は処分の効力・執行・手続の続行を妨げない(執行不停止の原則)。選択肢2は誤り。審査庁は審査請求人の不利益に処分を変更することはできない(不利益変更の禁止)。選択肢4は誤り。事情裁決をするときは、裁決の主文で処分が違法または不当であることを宣言しなければならない。

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