ここから行政法の「救済法」パートに入ります。まずは行政不服審査法。裁判所ではなく行政機関そのものに「その処分はおかしい」と申し立てる仕組みです。目的・3つの不服申立ての種類・対象を、条文の言葉で押さえましょう。
救済法って、要は行政に文句を言う方法ってこと?
言い方はさておき、方向は合っているわ。行政不服審査法1条は、簡易迅速かつ公正な手続のもとで国民の権利利益の救済を図り、あわせて行政の適正な運営を確保することを目的に掲げているの。
先生、質問があります。
裁判と違って、判断するのは行政機関自身ですよね。
それでは身内に甘い判断になりませんか。
痛いところを突くわね。
だからこそ現行法は審理員制度と行政不服審査会への諮問という、公正さを担保する二段構えを置いているの。
あとで詳しくやりましょう。
裁判より早い、というのが取り柄なのぉ?
簡易・迅速・無料。
それが最大の売りね。
そしてもうひとつ、審査できる範囲が広いのよ。
処分が違法かどうかだけでなく、不当かどうかまで踏み込めるの。
取消訴訟では違法性しか審査されません。
裁量権の逸脱・濫用に至らない「不当」まで拾えるのは不服申立てだけ……という理解で合っていますか?
合っているわ。
そこは択一で何度も問われる比較ポイントよ。
で、その申立てって何種類あるの?
3つ。
原則は審査請求。
そして法律に定めがあるときだけ使える再調査の請求と再審査請求ね。
要は、審査請求が本線で、あとの2つはオプションってこと?
上手な要約ね。
再調査の請求は処分庁自身に「もう一度調べ直して」と求めるもの。
再審査請求は、審査請求の裁決になお不服がある場合の二段目よ。
順序の問題があります。
再調査の請求ができる場合、必ずそれを先に経なければならないのでしょうか。
いいえ。
いきなり審査請求をしてかまわないわ。
ただし自分で再調査の請求を選んだときは、原則としてその決定を経た後でなければ審査請求はできない。
選択は自由、でも選んだら順番を守る、ということね。
対象になるのは、処分と……あと何があるの?
不作為よ。
処分と不作為の両方が対象。
しかも「この処分だけ」と限定せず広く道を開く一般概括主義を採っているわ。
もっとも7条に適用除外があって、国会の議決によってされる処分、裁判所の裁判、学校で学生に対してされる処分などは対象外なの。
確認クイズ
行政不服審査法上の不服申立てに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不服申立ての種類は審査請求のみであり、再調査の請求や再審査請求という類型は存在しない。
- 審査請求では、処分の違法性のほか、その不当性についても審査の対象となる。
- 再調査の請求をすることができる旨の法律の定めがある場合、必ず再調査の請求を経なければ審査請求をすることができない。
- 再審査請求は、法律に定めがなくとも、審査請求の裁決に不服がある者が常にすることができる。
こたえを見る
正解: 2. 審査請求では、処分の違法性のほか、その不当性についても審査の対象となる。
選択肢2が正しい。行政不服審査法による不服申立てでは、処分の違法性に加えて不当性も審査の対象となる。違法性のみを審査する取消訴訟との重要な違いである。選択肢1は誤り。審査請求のほか、再調査の請求・再審査請求という類型がある。選択肢3は誤り。再調査の請求ができる場合でも、直ちに審査請求をすることができる(自由選択)。選択肢4は誤り。再審査請求は法律に定めがある場合に限りすることができる。