行政罰と行政上の制裁 - 行政刑罰と秩序罰はどこが違うのか

誰が科すのか、どの手続によるのか。行政刑罰と過料の違い、併科の可否、公表・課徴金までを整理します。

編集・検証: 行政書士スタディ編集部 公式情報: 一般財団法人 行政書士試験研究センター 制作・検証方針

強制執行が「これからやらせる」手段なら、行政罰は「やらなかったことを罰する」手段です。同じ制裁でも、行政刑罰と秩序罰では科す機関も手続もまったく違います。ここは表で覚えるのが最短ルートです。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

先生、駐車違反の反則金と、届出を怠ったときの過料は、どちらも罰だと思うのですが、同じものですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

まったく別物よ。
行政上の義務違反に対する制裁を行政罰といって、これが行政刑罰と秩序罰に分かれるの。

雪村 ましろ(笑顔) 雪村 ましろ

えへへ、名前に「刑」があるかないか、だね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

見た目どおりよ。
行政刑罰は、刑法に刑名の定めがある罰、たとえば罰金や科料を科すもの。
刑罰である以上、原則として刑法総則が適用されるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

科す手続はどうなりますか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

刑事訴訟法の手続によって、裁判所が科すの。
行政庁が勝手に決められるものではないわ。

戸倉 ジャスミン(笑顔) 戸倉 ジャスミン

あたしわかった気がする! 秩序罰のほうは、刑罰じゃないんだ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
秩序罰は過料のこと。
届出の懈怠のような、行政上の秩序を軽く乱す行為に対する制裁で、刑罰ではないから刑法総則も刑事訴訟法も適用されないの。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

…あ、それ私も確認したかったところです。
では、誰が科すのですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

法律に基づく過料は、非訟事件手続法により裁判所が科すわ。
一方、条例や規則に違反した場合の過料は、地方公共団体の長が行政処分として科すの。
ここが重要な分岐点よ。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

うぅ〜ん…同じ「過料」なのに、科す人がちがうんだね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ややこしいけれど、試験ではまさにそこが問われるわ。
「条例違反の過料は長が科す」。
声に出して覚えてしまいましょう。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

ねえ、同じ違反で刑罰も過料も両方くらうことってあるの? 二重処罰じゃない?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

鋭い直球ね。
判例は、行政刑罰と秩序罰は目的も要件も手続も異なるとして、両者を併科しても憲法39条の二重処罰の禁止には反しないとしているわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

行政罰以外の制裁的手段もありますよね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ええ。
義務違反の事実を世間に知らせる公表、独占禁止法などの課徴金、税法上の加算税、それに許認可の停止・取消しといった手段があるわ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

…公表って、罰よりこわいときがあるかも。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

その感覚は大事にして。
制裁として機能する公表は、事実上の不利益が大きいから、法律の根拠を求めるべきだという議論があるの。
ましろさんの直感は、学説の入口に立っているわ。

確認クイズ

行政罰に関する記述として、妥当なものはどれか。

  1. 秩序罰としての過料は刑罰の一種であり、その科刑には刑事訴訟法の手続が適用される。
  2. 条例に違反した者に対して科される過料は、地方公共団体の長が行政処分として科す。
  3. 同一の行為に対して行政刑罰と秩序罰を併科することは、憲法39条が定める二重処罰の禁止に反するとするのが判例である。
  4. 行政刑罰は行政上の義務違反に対する制裁であるから、刑法総則の適用はない。
こたえを見る

正解: 2. 条例に違反した者に対して科される過料は、地方公共団体の長が行政処分として科す。

選択肢2が正しい。条例・規則違反に対する過料は、地方自治法に基づき地方公共団体の長が行政処分として科す。これに対し、法律に基づく過料は非訟事件手続法により裁判所が科す。選択肢1は誤り。秩序罰としての過料は刑罰ではないため、刑法総則も刑事訴訟法も適用されない。選択肢3は誤り。判例は、行政刑罰と秩序罰は目的・要件・手続を異にするとして、両者の併科は二重処罰の禁止に反しないとしている。選択肢4は誤り。行政刑罰は刑法に刑名のある刑罰であり、法律に特別の定めがない限り、原則として刑法総則が適用される。

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