会社どうしがくっついたり、事業を切り出したり。組織再編は手続が重い分、パターンで覚えると得点源になります。事業譲渡との違い、反対株主の保護、簡易・略式手続を押さえましょう。
組織再編は5つ。
合併、会社分割、株式交換、株式移転、そして株式交付ね。
合併って、2社が1つになるやつ?
ええ。
片方が残るのが吸収合併、両方消えて新会社ができるのが新設合併。
どちらも消滅会社の権利義務は包括的に承継されるわ。
これが包括承継。
対して事業譲渡は取引法上の契約ですから、権利義務は個別に移転する特定承継ですね。
そこが最大の対比よ。
事業譲渡では、債務を移すには債権者の承諾が要るし、契約上の地位を移すにも相手方の承諾が必要。
許認可も原則として引き継げないわ。
要は、合併は「まるごと引っ越し」、事業譲渡は「荷物を一つずつ運ぶ」ってこと?
ジャスミンさん、その喩えはとても良いわ。
だから合併には債権者異議手続が置かれる。
まるごと動くぶん、債権者に文句を言う機会を保障するの。
うぅ〜ん、会社分割は…事業を切り出すの?
そう。
既存の会社に承継させるのが吸収分割、新しく作る会社に承継させるのが新設分割。
承継の対象は契約や計画で定めた権利義務だから、部分的な包括承継ね。
株式交換は発行済株式の全部を他の会社に取得させて完全親子会社関係を作るもの、株式移転は新設会社に取得させるもの、でよいですか。
正確よ。
そして株式交付は、他の株式会社を子会社にするために株式を譲り受け、対価として自社株式を交付する制度。完全子会社にする必要はないのが株式交換との違いよ。
手続はどれも同じ流れなの?
基本形は、契約・計画の作成 → 事前開示 → 株主総会の特別決議による承認 → 反対株主の株式買取請求・債権者異議手続 → 効力発生 → 事後開示。
反対株主の株式買取請求権は、総会に先立って反対の意思を通知し、総会でも反対した株主が、公正な価格での買取りを求められる制度ですね。
そのとおり。
多数決に負けた株主に、投下資本を回収して抜ける道を用意しているの。
…小さな合併でも、いちいち株主総会を開くのぉ? 大変そう。
だから例外があるわ。簡易組織再編。
存続会社が交付する対価の額が、存続会社の純資産額の5分の1を超えないときは、存続会社の株主総会決議は不要。
影響が小さいからよ。
その場合、存続会社の株主は買取請求もできないってこと?
そのとおり。
簡易手続の場合、存続会社の反対株主に株式買取請求権は認められないわ。
ここは頻出よ。
略式組織再編のほうは、議決権の10分の9以上を握られている会社の側で総会決議が不要になる、でしたね。
結果が見えている決議を省く趣旨です。
整理が的確ね。
最後に解散。
定款所定の存続期間の満了、解散事由の発生、株主総会の特別決議、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散を命ずる裁判が事由よ。
…眠っている会社は、そのままずっと残るの?
それが休眠会社のみなし解散。
最後の登記から12年を経過した株式会社は、法務大臣の公告後、一定期間内に届出等がなければ解散したものとみなされるわ。
確認クイズ
組織再編に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 事業譲渡によって、譲渡会社の債務は当然に譲受会社に承継される。
- 吸収合併により消滅する会社の権利義務は、存続会社に包括的に承継される。
- 株式交付は、対象となる株式会社を完全子会社とする場合にのみ用いることができる。
- 簡易合併に該当する場合であっても、存続会社の反対株主は株式買取請求権を行使することができる。
こたえを見る
正解: 2. 吸収合併により消滅する会社の権利義務は、存続会社に包括的に承継される。
選択肢2が正しい。吸収合併では消滅会社の権利義務が存続会社に包括承継される。選択肢1は誤り。事業譲渡は特定承継であり、債務を移転するには債権者の承諾が必要である。選択肢3は誤り。株式交付は対象会社を子会社とするために用いられ、完全子会社化までは要しない。選択肢4は誤り。簡易組織再編の場合、存続会社の反対株主には株式買取請求権が認められない。