営業許可を取り消される。免許をはく奪される。行政が不利益な処分をする前には、相手方に言い分を述べる機会を与えなければなりません。聴聞と弁明の機会の付与。この2つの使い分けが、行政手続法最大のヤマです。
ふぇぇ〜、いきなり許可を取り消されたら、お店の人はどうしたらいいの?
だからこそ、事前に言い分を聞く手続が用意されているの。
行政手続法第3章、不利益処分の章よ。
まず12条の処分基準ですね。
審査基準との違いを確認したいです。
そこは必ず出るわ。
処分基準は、定めることも、公にしておくことも、どちらも努力義務。
審査基準が設定義務・原則公表義務だったのと対照的ね。
うぅ…なんで処分基準だけ甘いの?
基準を細かく公表すると、その一歩手前まで違反しても大丈夫だと逆手に取られかねない。
そういう配慮があるとされているわ。
ただし、定めるときはできる限り具体的にしなければならないという点は共通よ。
補足すると、意見陳述の手続には2種類ありますね。
13条ね。
重い処分には聴聞、軽い処分には弁明の機会の付与。
分岐点をきちんと覚えて。
聴聞が必要なのは、許認可等を取り消す不利益処分、名あて人の資格または地位を直接にはく奪する不利益処分、法人の役員の解任を命ずる処分など。
そして、これら以外でも行政庁が相当と認めるときは聴聞を行えるわ。
じゃあ、営業停止一か月みたいなのは?
許可を取り消すわけではないから、弁明の機会の付与ね。
「取消しは聴聞、停止は弁明」と覚えると早いわ。
手続の中身はどう違いますか。
聴聞は口頭主義。
行政庁が指名した主宰者のもとで審理が開かれ、当事者は意見を述べ、証拠書類を提出し、主宰者の許可を得て職員に質問することもできるわ。
傍聴はできるのぉ…?
聴聞の審理は、行政庁が公開を相当と認めるときを除き、公開しないの。
原則非公開よ。
ここも狙われるわ。
文書等の閲覧の権利もありますね。
18条ね。
当事者等は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときなど正当な理由がなければ拒めないわ。
そして重要なのが、この閲覧の規定は弁明の機会の付与には準用されないということ。
弁明は原則として弁明書を提出して行う書面審理だから、口頭でできるのは行政庁が認めたときだけよ。
聴聞が終わった後の流れも押さえたいです。
主宰者が聴聞調書と報告書を作成して行政庁に提出する。
行政庁は、調書の内容と報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌して、処分を決定しなければならないわ。
参酌であって、拘束されるわけではない点に注意して。
…理由は、教えてもらえるんだよね?
14条よ。
不利益処分をする場合には、名あて人に対し、同時に理由の提示をしなければならない。
差し迫った必要があるときは省略できるけれど、その場合も処分後、相当の期間内に示さなければならないわ。
判例は、処分基準が定められ公にされている場合、いかなる理由でその基準の適用によりその処分が選ばれたのかまで示すべきだとしていますね。
確認クイズ
行政手続法における不利益処分に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 行政庁は、不利益処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定め、かつ、これを公にしておかなければならない。
- 行政庁は、許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合には、弁明の機会を付与しなければならない。
- 弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面を提出してするものとされている。
- 聴聞の期日における審理は、その公正を確保するため、常に公開して行わなければならない。
こたえを見る
正解: 3. 弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面を提出してするものとされている。
選択肢3が正しい。弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出して行う書面審理が原則である。選択肢1は誤り。処分基準は、定めることも公にしておくことも、いずれも努力義務にとどまる。設定義務があるのは審査基準である。選択肢2は誤り。許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合には、聴聞を行わなければならない。弁明の機会の付与で足りるのは、それ以外の比較的軽い不利益処分の場合である。選択肢4は誤り。聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しないのが原則である。