道路の陥没、河川の氾濫、学校の遊具。人の行為ではなく「物」に起因する損害を扱うのが国家賠償法2条です。1条との最大の違いは、過失を必要としないこと。ここが得点源になります。
道路に穴が空いてて転んだ! これは誰のせい?
国家賠償法2条の出番ね。
道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体が賠償の責めに任ずる、と定めているわ。
1条との違いは、故意・過失を要件としない点ですね。
そこが核心。
2条は無過失責任よ。
管理者に落ち度があったかどうかを問わず、営造物が通常有すべき安全性を欠いていれば責任が生じるの。
公の営造物って、建物のことなのぉ?
建物だけではないわ。
公の目的に供されている有体物全般で、動産も含まれる。
公用車や、学校のテニスの審判台のようなものもね。
人工物だけでなく、河川のような自然公物も含むのよ。
でも役所が「お金がなくて直せなかった」って言ったら?
それは通用しないの。高知落石事件——最判昭和45年8月20日——で最高裁は、道路の防護柵を設置するとなれば相当の費用を要するとしても、そのような予算措置に困窮するという理由だけでは賠償責任を免れないとしたわ。
予算抗弁の否定ですね。
財政事情は免責理由にならない。
……お金がないから危ないまま、では困るもんね。
ただし、河川は少し扱いが違うの。
判例は、河川管理には財政的・技術的・社会的な制約があるとして、未改修河川については過渡的な安全性で足りるという枠組みを示したわ。
道路と同じ物差しでは測らないの。
え、河川だけ甘いの? なんで?
河川はもともと自然の営力による危険を内包していて、一気に全部を改修することは不可能だからよ。
道路は人工物だから、危険を除去する義務はより厳しく見られるわ。
利用者ではない周辺住民が被害を受けた場合はどうなりますか。
空港や道路の騒音のような。
供用関連瑕疵と呼ばれる問題ね。
判例は、営造物が利用者に対して危険でなくても、その供用によって周辺住民に受忍限度を超える被害を及ぼす場合には、設置管理の瑕疵を認めているわ。
空港の騒音訴訟が代表例よ。
ところで、道路を作ったのは国で、管理してるのは県、みたいなときは、誰を訴えるの?
3条ね。
設置管理者と費用負担者が異なるときは、費用負担者も賠償の責めに任ずる。
被害者はどちらにも請求できるの。
内部的にはあとで求償し合うわ。
それと6条、外国人が被害者の場合は相互保証主義——相互の保証があるときに限り適用されるのよ。
確認クイズ
国家賠償法2条に関する次の記述のうち、判例に照らして妥当なものはどれか。
- 国または公共団体が責任を負うには、営造物の管理者に故意または過失があったことが必要である。
- 判例は、道路の防護柵の設置に予算措置が困難であるという理由だけでは賠償責任を免れないとした。
- 公の営造物には不動産のみが含まれ、公用車などの動産は含まれない。
- 営造物の設置管理者と費用負担者が異なる場合、被害者は設置管理者にしか賠償を請求できない。
こたえを見る
正解: 2. 判例は、道路の防護柵の設置に予算措置が困難であるという理由だけでは賠償責任を免れないとした。
選択肢2が妥当。高知落石事件で最高裁は、道路の防護柵の設置に相当の費用を要し予算措置に困窮するとしても、その理由だけでは賠償責任を免れないとした(予算抗弁の否定)。選択肢1は誤り。国家賠償法2条は無過失責任であり、管理者の故意・過失は要件ではない。選択肢3は誤り。公の営造物には動産も含まれる。選択肢4は誤り。同法3条により費用負担者も賠償責任を負い、被害者はいずれに対しても請求できる。