違法な行政行為でも、取り消されるまでは有効に通用してしまう。それが公定力です。この一見不思議な効力を含め、行政行為に認められる4つの効力を、根拠とセットで整理します。
先生、役所の処分が違法だったら、その瞬間から無効なんじゃないの?
それが違うのよ。
違法な行政行為であっても、権限ある機関が取り消すまでは、一応有効なものとして通用する。
これを公定力というわ。
マジで!? 違法なのに有効って、そんなのアリ?
気持ちは分かるわ。
でも根拠を聞けば納得できるはず。
法律は、処分を争う道として取消訴訟という特別な手続を用意した。
この手続でしか取り消せないという建前を、取消訴訟の排他的管轄というの。
つまり、取消訴訟という専用の窓口を作った反射的な結果として、そこを通るまでは有効なものとして扱われる。
そういう理解で合っていますか?
よく気づいたわね。
公定力は法律が正面から定めた効力ではなく、取消訴訟の排他的管轄から説明されるもの。
この理屈が問われるわ。
えへへ、じゃあ、ものすごくひどい処分でも有効になっちゃうの?
そこは例外があるわ。
瑕疵が重大かつ明白で無効とされる行政行為には、公定力は及ばない。
誰も従う必要がないの。
国家賠償請求はどうなりますか。
処分を取り消してからでないと、損害賠償を請求できないのでしょうか。
判例は、国家賠償請求訴訟を起こすにあたって、あらかじめ取消訴訟で処分を取り消しておく必要はないとしているわ。
賠償請求は処分の効力を否定するものではないから、公定力は及ばないの。
ここは頻出よ。
よし、公定力は分かった。
あと3つあるって?
2つめが不可争力。
出訴期間や審査請求期間が過ぎると、国民の側からはもう争えなくなる。
形式的確定力とも呼ばれるわ。
うぅ〜ん…でも、役所のほうから「やっぱり間違いでした」って取り消すのは?
それはできるの。
不可争力はあくまで国民の側を縛るもの。
行政庁の職権取消しは妨げられない。
ここ、引っかけの定番よ。
3つめが不可変更力。
審査請求の裁決のような、争いを裁断する性質の行為については、行政庁自身も後から取消し・変更ができない。
すべての行政行為に生じるわけではないわ。
4つめが自力執行力ですね。
行政庁が裁判所の判決を得ずに、自ら義務を強制的に実現できる効力。
そう。
ただしこれは、行政行為に当然に伴うものではないの。
行政代執行法のような法律の根拠があってはじめて認められる。
そこが最大のポイントよ。
確認クイズ
行政行為の効力に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 公定力は、行政行為に重大かつ明白な瑕疵があり無効とされる場合にも認められる。
- 不可争力が生じた行政行為については、行政庁が職権によりこれを取り消すこともできなくなる。
- 自力執行力は、すべての行政行為に当然に認められる効力であり、その行使に法律の根拠は必要でない。
- 公定力の根拠は、行政行為の効力を争う手続として取消訴訟が排他的に用意されていること(取消訴訟の排他的管轄)に求められる。
こたえを見る
正解: 4. 公定力の根拠は、行政行為の効力を争う手続として取消訴訟が排他的に用意されていること(取消訴訟の排他的管轄)に求められる。
選択肢4が正しい。公定力は法律が明文で定めた効力ではなく、取消訴訟という特別の争訟手続が排他的に用意されていることの反射的効果として説明される。選択肢1は誤り。重大かつ明白な瑕疵により無効となる行政行為には公定力は生じず、誰もこれに拘束されない。選択肢2は誤り。不可争力は国民の側から争うことを制限するにとどまり、行政庁が職権で取り消すことは妨げられない。選択肢3は誤り。自力執行力は行政行為に当然に伴うものではなく、行政代執行法などの法律の根拠があってはじめて認められる。